「伝説のバンドマン」意外すぎる"もう1つの職業" 歌舞伎町に現れた「ド派手なピンクの生物」の正体

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ミュージシャンとして伝説、カリスマとまで呼ばれた男が、今度は着ぐるみとして日本中に乗り込もうとしている。いったい、何が彼をここまで駆り立てているのだろう? 尋ねると、KENZIさんは少年のような笑顔を見せた。

「僕、インディーズ魂が好きなんです。お金持ちになるよりも、好きなことをして、ギリギリでもご飯を食えているほうがいい。ぴぱんくぅになったのも、もともと変身願望があったし、誰かのためというより、僕が遊ばせてもらっているんですよね。しかも、ロッカーって反社会的で不良じゃないですか。バンドマンのKENZIもハチャメチャだけど、そんなやつがゴミ拾いをしてるのって面白くないですか?」

KENZI
ぴぱんくぅが現れるのは、歌舞伎町の路上だけではなさそうだ(撮影:今井康一)

夜の歌舞伎町が、どこか優しい雰囲気になる

KENZIさんの好きなキャラクターの1つに、「快獣ブースカ」がある。ブースカは怪獣ではあるものの、心優しい性格で、人間とも仲がいい(そのため表記は「快獣」)。そんなブースカのように、ステージ上ではモンスターになるが、お年寄りや子どもを大事にし、夢や童心を持ち続けているのがKENZIさんなのだ。

ぴぱんくぅのゴミ拾いの日。活動が終わり、夜の歌舞伎町から、ピンク色の後ろ姿が遠ざかっていく。人々は着ぐるみに注いでいた視線を戻し、再び歩き出したり、スマホをいじったりと、思い思いの行動を取る。

ぴぱんくぅが現れる前と何ひとつ変わらない風景に見えるが、街の雰囲気はどこか優しい。それはまるで、好きなキャラクターが登場するテレビにかじりついて見て、すっかり満足して笑みを浮かべた子どもたちの姿に重なって見えた。

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肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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