「私は仕事が趣味で、毎日毎日仕事ばかり。でもイライラすることも多くて、温厚な人間になりたいと思っていました。増野さんも高野さんもすごく穏やかな性格で、生け花を習うことで私もそうなれるのかなと。ちょうど新しい趣味を見つけたいとも思っていたので、参加しました」(渡邉さん)

ほかの参加者と談笑しながら、渡邉さんは楽しそうに花を生けていく。
生け花といえば、和室で和服を着て厳かに行うような、よく言えば高貴な、悪く言えば取っつきにくい印象が筆者にはあった。しかし、この教室はまったく違う。
参加者たちは私服で、会場の飲食店はメンズコンカフェ。シャンパンの空き瓶が隅に並んでいるなど、これぞ歌舞伎町という雰囲気だ。私語厳禁どころか、「前は赤羽の飲食店で働いていたんです」「赤羽ですか、いいですね」というような会話も交わされる。
取材で訪れたはずの筆者も、なぜか今度飲みに行く約束を参加者たちとした。日本の伝統文化である生け花が、カジュアルで楽しそうに行われているギャップが新鮮だった。

メンズコンカフェの女性客が参加することも
いけばな雪舟流は目黒教室を本部として、銀座や秋葉原、北千住など、都内近郊10カ所に教室がある。教室の特徴は、初心者でもきれいに花を生けることができ、満足感や達成感を得やすいこと。
あらかじめ決まっている型と、増野さんや高野さんのアドバイスがあり、花の組み合わせもプロの目利きによって選ばれているため、極端に失敗することはほぼないという。
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