有名大学出身のエリート新入社員→手が付けられないほど"モンスター化"の「なぜ」。彼のやる気を削いだ上司の言葉とは?
実際に、秋のイベントに向けたプロジェクトは、Tさん主導で進められていた。同期の数人や先輩が手を抜いて仕事をしているときはTさんが率先してカバーし、誰かのミスの尻拭いをさせられたこともあった。そのことは上司も分かっていたはずだった。
にもかかわらず「みんなのおかげで、プロジェクトの進行は順調だ」
「社長も、みんなに期待している」などといつも口にしていた。
また、ある日の会議でのことだ。Tさんが渾身の企画を発表した。プレゼンの資料は週末に図書館にまで通って調査し、5時間以上かけてまとめた。
「相変わらず君のアイデアは素晴らしい」、上司はそう言いながらも、すぐに付け加えた。「とはいえ、T君のアイデアばかり採用するわけにはいかない。今回はKさんの案でいこうと思う」
この意思決定に、Tさんは納得できなかった。アイデアの中身で不採用になったわけではないからだ。その後も同じことが続いた。Tさんが休日返上で作り上げた展示ブースも、上司は「チーム全体の成果だ」と評価した。
絶対にやってはいけない上司の振る舞い
決定的だったのは、夏季の人事評価だった。Tさんは最高評価を期待していた。誰よりも働き、誰よりも成果を出した自負があった。社長だって一目を置いてくれていた。
しかし結果は「A評価」。悪くはないが、特別でもない。しかも同期の多くが同じ評価だったのだ。
「なぜですか?」、Tさんは上司に詰め寄った。
「君はよくやっているよ。私は君を認めてるよ。でもさ、頑張っているのは、君だけじゃないんだ」
「本当に、そう思ってるんですか?」
「え?」
「もう、いいです」
その瞬間、Tさんの中で何かが切れた。翌日から、彼の態度は一変した。
朝の出社時間は定時ギリギリ。会議では一言も発言しない。新しい仕事を頼まれても「それは私の仕事ですか?」と反論する。
かつての積極性は影を潜め、批判的な発言ばかりが目立つようになった。そして極め付きは、秋のイベントへの不参加だ。上司が説得しても、「忙しいので……」の一点張り。
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