また、サービスについては、トッテッテの進化版を考えているという。「浅草でインバウンドに好評を博している人力車など、将来的に体験型サービスへと進化する可能性があります」と山本氏は語る。

常識を覆す競争優位性の源泉
「the b」の戦略は、ホテル業界の常識を覆す「最低限の統一性」と「最大限の柔軟性」のバランスを追求したものだ。従来のホテルチェーンは内装やサービスの統一性に多大なコストをかけてきたが、「the b」はそうした「常識」に疑問を投げかけている。
宿泊客が本当に求めているのは何か。それは「the b」の名に集約される基本的要素なのではないか。 そこに絞り込むことで、リブランド時の改装コストを最小化し、スピーディな出店を可能にしているのだ。

この戦略は特にインバウンドマーケットとの相性がいい。海外からの観光客は、日本での宿泊に「ホテル自体の体験」よりも「観光の拠点」としての機能性を求める傾向が強いからだ。
「従たる目的として、必要最低限を提供する」という若月氏の言葉は、単にコスト削減のための方便ではなく、ビジネスモデル全体を貫く哲学だ。
変化の激しいホテル業界において、柔軟性を最大化し、不確実性をビジネスチャンスに変える「the b」の戦略は、今後のホテルチェーンのあり方に一石を投じているのではないだろうか。

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