「あのホテル閉店したのか…え!? 翌日に違うホテルがオープン!?」 業界騒然「0日リブランド」の「the b」、脅威の柔軟性の"深い狙い"

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徹底的に統一感を追求するのではなく、これらの核となる要素だけを保証し、それ以外は柔軟に変化させる。この考え方が、「0日リブランド」を可能にしたのだ。

the b 水道橋のロビースペース(写真提供:イシン・ホテルズ・グループ)

投資ファンドから生まれたホテル運営会社の変遷

イシン・ホテルズ・グループの成り立ちも、その戦略の背景を理解するカギとなる。同社は2001年、アメリカの投資ファンドによって設立された。当初は不動産物件を取得し、価値が上がったタイミングで売却するスキームではじまった企業だった。

しかし2004年、投資ファンドが日本でホテルを取得する際、「ホテル運営ブランドを持つこと」がプラスに働くことから、自社ブランド「the b」を開業。その後、オーナーとして持っていたホテル不動産すべてを売却する。そして2018年3月、星野リゾートがイシン・ホテルズ・グループの株式の50%を取得し、資本提携。これを機に、ホテル運営に特化した業態に切り替わった。

現在は首都圏を中心に、全国に16の「the b」ブランドのホテルを展開しているほか、名古屋に「セントメイン名古屋」というビジネスホテルを運営している。

the b 神戸の共用ラウンジ兼朝食スペース。デザインコンセプトは「旅の港」だ(写真提供:イシン・ホテルズ・グループ)

イシン・ホテルズ・グループの経営哲学で注目すべきは「従たる目的として、必要最低限を提供する」という考え方だ。若月氏によれば、「従たる」とは旅の目的が「主」であるという意味だという。

宿泊特化型ホテルは、旅の目的地になりえない。あくまで主目的は観光、ビジネス、レジャーなどであり、ホテルはそれをサポートする脇役に徹するという姿勢だ。

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