「あのホテル閉店したのか…え!? 翌日に違うホテルがオープン!?」 業界騒然「0日リブランド」の「the b」、脅威の柔軟性の"深い狙い"

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一方で朝食は、やはりバラバラだ。若月氏がいったように会場がとれないホテルもあるが、客層や設備に合わせて柔軟に提供している。インバウンド比率が高いホテルは朝食を付ける客が多いため、ブッフェスタイルを基本に。それもロケーションごとに、さっと食べられる簡単なものからフルブッフェまでさまざまだ。

ビジネスマンが多い「the b 新橋」は、スープとパンとトッテッテを組み合わせた、500円の気軽なセットに。「the b 赤坂見附」では1Fカフェで6種類のモーニングから選べる……といった具合だ。

これらの朝食、そして清掃はゲストの要望を反映しやすいため、基本自社スタッフで行っている。

the b 赤坂見附の1Fカフェで提供されるモーニングセットのひとつ(写真提供:イシン・ホテルズ・グループ)

インバウンド獲得のため現地に「直営業」

ところで、イシン・ホテルズ・グループにはある得意領域がある。インバウンドの客の獲得だ。

通常、海外の客、特に団体客は、「現地の旅行代理店→日本の旅行代理店→日本のホテル」というルートを経由する。だが、そうなると旅行代理店との関係が築きやすい大手チェーンが総取りしやすい構造がある。

しかし同社は海外専門の営業マンを擁し、直接各国の旅行代理店と交渉する。特に東欧諸国やメキシコ、ブラジルなどのニッチ市場や、メジャーな国でも3番手、4番手の旅行代理店との関係構築に注力しているそうだ。

他方、建物を所有するオーナーに対しても、増加するインバウンド需要を受け入れるための提案を積極的に行っている。最近で言えば、「the b 大阪新世界」でグループでの旅行が多いインバウンド向けに、元々2部屋だった客室を1部屋に結合。「5人部屋」を用意したそうだ。

the b 大阪新世界、2部屋をつなげた5人まで泊まれるファミリールーム(写真提供:イシン・ホテルズ・グループ)

これらの施策の結果「the b」では、コロナ以前の2019年と比較して、インバウンド比率が平均して10%上昇。「the b 大阪新世界」は、以前のブランドでは10%だったインバウンド比率が80%にまで激増した。

「the b 銀座」では、年間90%以上が海外客だという。また、インバウンドの増加に伴って、客室単価も40%成長したそうだ。

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