"カイシャ君"はなぜ迷走する? 「働き方改革」「人的資本経営」「ワークライフバランス」…、"トレンドワード"に飛びつくより大事な事とは?

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会社の仲間
「会社」「組織」「マネジメント」の本質を見失っていませんか?(写真:マハロ / PIXTA)
「働き方改革」「人的資本経営」「女性管理職比率」「ワークライフバランス」「副業・兼業」「パーパス経営」「ダイバーシティ」──。昨今、さまざまなキーワードが企業経営の重要テーマとなっている。多くの企業がこれらのテーマに沿った施策を打ち出しているが、果たしてそれは、企業の持続的な成長や働く個人の幸福に真に貢献しているのだろうか。
リンクアンドモチベーション代表取締役会長の小笹芳央氏は、「企業は世の中の潮流に乗るために『トレンドワード』に飛びつくが、いつの間にかその本質を見失い、手段が目的化してしまっているケースが少なくない」という。
そこで、小笹氏の著書『組織と働き方の本質 迫る社会的要請に振り回されない視座』を再編集し、経営やマネジメント、個人の働き方の本質にシリーズで迫っていく。本記事では、基本として最初に理解しておくべき「会社」「組織」「マネジメント」の本質をお伝えする。

不祥事を起こす宿命にある"カイシャ君"

まずはじめに、「会社」とは何だろうか? 筆者は、会社とは「いろいろな人たちの欲望を効果的に実現するために、人間が創った発明品だ」と考えている。ここからは、会社を擬人化して"カイシャ君"と呼び、その性質を考えてみよう。

カイシャ君は、たくさんの人たちの欲望を実現する装置として生まれているため、基本的には、それぞれの欲望を実現する「経済合理性」を中心軸に動く。「儲からないことはやらないし、やるべきではない」というのが基本的な価値観だ。

一方、社会には家族愛や友人愛、奉仕の精神など、多種多様な価値観が混在し、必ずしも経済合理性で動いているわけではない。そんな社会に、経済合理性しか考えていないカイシャ君が誕生したら、摩擦やトラブルが生じるのも無理はない。

極論すれば、カイシャ君は不祥事を起こす宿命を負っているといえる。

なぜならカイシャ君は、売り上げや利益の増大、原価の削減、経費の圧縮といった重圧を抱えている。そのため、このような重圧に負け、社会における道から足を踏み外したとき、事件や不祥事が起きるのだ。そうならないよう、会社は社会からさまざまなルールを課せられている。

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