"カイシャ君"はなぜ迷走する? 「働き方改革」「人的資本経営」「ワークライフバランス」…、"トレンドワード"に飛びつくより大事な事とは?

不祥事を起こす宿命にある"カイシャ君"
まずはじめに、「会社」とは何だろうか? 筆者は、会社とは「いろいろな人たちの欲望を効果的に実現するために、人間が創った発明品だ」と考えている。ここからは、会社を擬人化して"カイシャ君"と呼び、その性質を考えてみよう。
カイシャ君は、たくさんの人たちの欲望を実現する装置として生まれているため、基本的には、それぞれの欲望を実現する「経済合理性」を中心軸に動く。「儲からないことはやらないし、やるべきではない」というのが基本的な価値観だ。
一方、社会には家族愛や友人愛、奉仕の精神など、多種多様な価値観が混在し、必ずしも経済合理性で動いているわけではない。そんな社会に、経済合理性しか考えていないカイシャ君が誕生したら、摩擦やトラブルが生じるのも無理はない。
極論すれば、カイシャ君は不祥事を起こす宿命を負っているといえる。
なぜならカイシャ君は、売り上げや利益の増大、原価の削減、経費の圧縮といった重圧を抱えている。そのため、このような重圧に負け、社会における道から足を踏み外したとき、事件や不祥事が起きるのだ。そうならないよう、会社は社会からさまざまなルールを課せられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら