【大阪・関西万博】タクシー業界も呆れる万博協会の後手対応 利用者不在の頑なな方針が招く“交通アクセスの大混乱”

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ライドシェア解禁に伴うタクシー業界の動きを語る際に、「既得権益」という言葉が利用されがちだ。だが、万博開催に伴うその動きについて、強い違和感を感じる部分もある。

特に強く解禁を訴えてきた維新の会では、国会答弁や大阪の各種委員会レベルでも「既得権益の打破」という言葉は何度も繰り返してきた。その一方で、あまりに安易な行動も散見されるのだ。

ライドシェアのハイブリッド運用を掲げる新興企業「newmo」の会見では、吉村洋文知事が参加し、PRに一役買っていることもその1つだろう。知事や共同代表という立場にもかかわらず特定の企業への肩入れがあるという点は、新たな「既得権益を生む」という批判が生じても何ら不思議ではない。事実、タクシー業界や永田町からはそんな声も聞こえてくる。

「いざ開催となれば盛り上がる」は本当か?

前出のタクシー会社の役員は筆者にこうも明かした。

「万博にしろライドシェアにしろ、情報が全く降りてこないから、どうなるかの予測もつかないというのが正直なところです。ただ、本来であれば旅客輸送事業者にとって大歓迎な万博開催に対して、ほとんどポジティブな意見が聞こえてこないのが現状を表しているとも思います。せめて微増となれば御の字、というところでしょうか」

開幕前から問題が山積だった大阪・関西万博だが、いざ開催となれば盛り上がりを期待する声も根強い。そして、直接的な売り上げに繋がる交通事業者ほどその思いは切実だ。

だが、仮にそうなった場合には、「交通問題」が表出する可能性は高まる。上述してきたようなあまりに“無計画”な過程から判断するに、とてもではないが楽観的な観測を持てないのは決して筆者だけではなかろう。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。新著「ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス」が発売中。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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