「勝負運」を引き寄せる仲間やチームの"動かし方" 「強い組織の作り方」は野球と禅の世界にも共通

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横田:そこでチェコの監督かコーチから「素晴らしい選手になるためにはどうすればいいですか」と聞かれたときの栗山監督の答えにも、私は心を打たれました。「素晴らしい選手になるためには、よりよい人間にならなくてはいけない」と言われたそうですね。

運をいかに味方につけるか

栗山:チェコ代表の人たちは人間性が素晴らしいですよ。彼らと向き合ったときに、スポーツがどうあるべきか、人はどう生きるべきかを教えていただきました。

野球って運の要素も強いスポーツです。内野手の正面に飛んだ打球がイレギュラーしてヒットになるとか、打ち損なった打球が野手と野手の間に落ちて点が入るとか。だから、運をいかに味方につけるかというのが一つのテーマになるのですが、それは結局、生きざましかないなと思うんです。

周囲のために尽くして生きている人には神様や天が応援してくれる。僕にはそういう感じがすごくあります。

運を味方にする人の生き方
『運を味方にする人の生き方』(致知出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

横田:WBC世界一の勝運を呼び込んだ要因もそのあたりにありそうですね。

栗山:そうですね。選手たち全員が自分を捨ててくれた、自分のことよりチームが勝つために何をするかに集中してくれた。要するに、「無私」になってくれたことが大きかったと思います。

あれだけ能力の高い一流の選手たちですから、当然プライドもあります。でも、ずっと試合に使ってあげられない選手もいるわけです。そのときに、普通であれば「俺を使えよ」「なんで出してもらえないんだ」みたいな気持ちも心の中で生まれますよね。

でも、今回のチームはそんなことが一切なくて、大会の途中から皆が私心を消してくれて、ベンチにいてもとにかくチームが勝つために明るく声を出して盛り上げたり、誰かが活躍すると心の底から喜んでくれました。そういう空気がやっぱりチームを引っ張って前に進めたという実感があります。

横田 南嶺 臨済宗円覚寺派管長

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よこた なんれい / Nanrei Yokota

昭和39年和歌山県新宮市生まれ。62年筑波大学卒業。在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。平成3年円覚寺僧堂で修行。11年円覚寺僧堂師家。22年臨済宗円覚寺派管長に就任。29年12月花園大学総長に就任。

著書に『禅の名僧に学ぶ生き方の知恵』『人生を照らす禅の言葉』『禅が教える人生の大道』『十牛図に学ぶ』『臨済録に学ぶ』『無門関に学ぶ』(いずれも致知出版社)など多数。

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栗山 英樹 北海道日本ハムファイターズCBO

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くりやま ひでき / Hideki Kuriyama

1961年、東京都生まれ。東京学芸大学を経て、1984年に内野手としてヤクルト・スワローズに入団。1989年にはゴールデングラブ賞を獲得するなど活躍したが、1990年に怪我や病気が重なり引退。引退後は野球解説者、スポーツジャーナリストに転身した。2011年11月、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。翌年、監督1年目でパ・リーグ制覇。2016年には2度目のリーグ制覇、そして日本一に導いた。2021年まで監督を10年務めた後、2022年から日本代表監督に就任。2023年3月のWBCでは、決勝で米国を破り世界一に輝いた。2024年から、ファイターズ最高責任者であるチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)を務める。

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