「勝負運」を引き寄せる仲間やチームの"動かし方" 「強い組織の作り方」は野球と禅の世界にも共通
横田:そこでチェコの監督かコーチから「素晴らしい選手になるためにはどうすればいいですか」と聞かれたときの栗山監督の答えにも、私は心を打たれました。「素晴らしい選手になるためには、よりよい人間にならなくてはいけない」と言われたそうですね。
運をいかに味方につけるか
栗山:チェコ代表の人たちは人間性が素晴らしいですよ。彼らと向き合ったときに、スポーツがどうあるべきか、人はどう生きるべきかを教えていただきました。
野球って運の要素も強いスポーツです。内野手の正面に飛んだ打球がイレギュラーしてヒットになるとか、打ち損なった打球が野手と野手の間に落ちて点が入るとか。だから、運をいかに味方につけるかというのが一つのテーマになるのですが、それは結局、生きざましかないなと思うんです。
周囲のために尽くして生きている人には神様や天が応援してくれる。僕にはそういう感じがすごくあります。
横田:WBC世界一の勝運を呼び込んだ要因もそのあたりにありそうですね。
栗山:そうですね。選手たち全員が自分を捨ててくれた、自分のことよりチームが勝つために何をするかに集中してくれた。要するに、「無私」になってくれたことが大きかったと思います。
あれだけ能力の高い一流の選手たちですから、当然プライドもあります。でも、ずっと試合に使ってあげられない選手もいるわけです。そのときに、普通であれば「俺を使えよ」「なんで出してもらえないんだ」みたいな気持ちも心の中で生まれますよね。
でも、今回のチームはそんなことが一切なくて、大会の途中から皆が私心を消してくれて、ベンチにいてもとにかくチームが勝つために明るく声を出して盛り上げたり、誰かが活躍すると心の底から喜んでくれました。そういう空気がやっぱりチームを引っ張って前に進めたという実感があります。
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