「勝負運」を引き寄せる仲間やチームの"動かし方" 「強い組織の作り方」は野球と禅の世界にも共通
栗山:僕が手紙に書いて伝えたかったのは、あなたは日本代表チームの一員なのではなく、あなたが日本代表チーム、要するに自分のチームだと思ってほしいということです。
会社でも同じだと思うのですが、自分は会社の社員の1人にすぎないと思ってサラリーマン意識で勤めているのか、オーナー経営者だと思って働いているのかでは感覚がまったく違いますよね。僕は、全員に「このチームは俺のチームだ」と思ってプレーしてほしかったんです。
そのために、普通であればキャプテンを1人指名するわけですが、今回は全員がキャプテンだということで、キャプテンを置きませんでした。
横田:それは監督の判断としてそうしたんですね。
栗山:正直言って、僕が相手にできるような選手たちじゃなくて、本当にトップクラスが揃っていたので、1人にプレッシャーをかけるよりも、そうしたほうが勝ちやすいと判断したんです。
そうしたら、初日のミーティングが終わったあと、ダルビッシュ(有)が僕の部屋に来て、「監督、全員キャプテンOKです。あれ、いいですね。しっかりやります」みたいなことを言ってくれました。
横田:なるほど。確かにベンチにいる控え選手も含め、チームの一体感が画面からも伝わってきました。
控えの選手が「勝ちたい」と思えているか
栗山:一流選手ばかりだからこそ、変な気の遣い方は必要ない。逆に、思いっ切りわがままをぶつけようと思ったんです。彼らは自分が出たいというような気持ちは捨てていて、勝つためには自分よりこの選手が出たほうがいいとわかっている。だから、こちらがちゃんと判断しないと、逆に不信感を持つと思いました。
横田:確か「ベンチにいる人間が出ている選手以上に勝ちたい、勝たせたいと思っていたのがよかった」とおっしゃっていたと記憶していますけれど、それはすごいことですね。