いつもと違う「肩こり」で女性が抱いた"嫌な予感" たかが肩の痛みと"あなどってはいけない"ワケ

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■総合診療かかりつけ医・菊池医師の見解

総合診療かかりつけ医できくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、「腎盂腎炎は年間を通じてよく見られる病気」だ。

鈴木さんは女性だったが、菊池医師のクリニックでは、男性患者も少なくないという。男性がなりやすい「尿路結石」も腎盂腎炎のリスクだからだ。尿路結石は腎臓から尿道までの尿路にできる結石の総称だ。尿路で石が詰まるとしばしば激痛をともなう。

ただし、最初から腎盂腎炎を疑って受診する患者はほぼいない。「これまで感じたことのない腰痛や背中の痛み+高熱」のセットで、「どこか悪いのではないか?」とやってくる。

自分でできる予防策は大きく3つ

診察では患者が痛がる部分を医師が「叩いたり、押したり」する触診が行われる。「このとき、内側にひびく感じがあるかどうかがポイントです」(菊池医師)。

ズンとひびく感覚があるのは、炎症を起こしているほうの腎臓に刺激が伝わるためという。加えて発熱があれば、ほぼ腎盂腎炎と診断がつく。

確定診断には腎臓のCT検査が欠かせない。CTにより画像を撮影することで、腎臓の炎症の程度はもちろん、どちらの腎臓で病気が起こっているかが判明する。このため、クリニックにCTがない場合、医師は検査体制の整ったクリニックや病院を紹介するという流れになる。

夜間に症状が出た場合は、鈴木さんのケースのように救急外来を受診してもらって構わない。だが、菊池医師は「その際は気をつけたほうがいい点がある」と言及する。

「発症直後はCT画像に異常がはっきりと表れないことがあるからです。また、病原菌の勢いが強い初期は、抗菌薬や痛み止めを点滴しても、すぐには効かないことが珍しくないです」

鈴木さんが救急で受診をした病院では詳しい検査をしても、明らかな病気がわからなかったのも、こうしたことが背景にあると考えられる。

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腎盂腎炎は症状が出たときに速やかに受診し、適切な治療をすれば完治する病気だ。決して怖い病気ではない。炎症がひどかったり、高熱が4日ぐらい続いたりしている場合を除き、今は、通院で治療可能なケースが多いという。

とはいえ、繰り返し腎盂腎炎を起こしてしまう人もいる。

菊池医師は予防策として、「排泄時に清潔を保つ」ほか、「水を多めに飲む」「睡眠・栄養をしっかりとるなど、生活習慣に気をつける」ことを挙げる。「生活習慣の乱れは軽視できません。免疫力が低下すると、細菌感染もしやすくなります」。

菊池 大和 きくち総合診療クリニック

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きくちやまと / Yamato Kikuchi

2004年、福島県立医科大学医学部卒。浜松医科大学附属病院にて初期研修医。磐田市立総合病院外科、国立がんセンター東病院呼吸器外科、湘南東部総合病院外科科長・救急センター長、座間総合病院総合診療科などを経て2017年、土日も診療を行う総合診療クリニックであるきくち総合診療クリニックを開業。小児から高齢者まで、救急医療も行い、あらゆる症状を診る「総合診療クリニック」が全国に広がることを目指し、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

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狩生 聖子 医療ライター

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かりゅう きよこ / Kiyoko Karyu

1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。

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