診断結果は予想通りだった。
尿検査では炎症反応を表す白血球の数が異常値を示し、ほかの複数の数値も異常値を示していた。再度、画像検査で確かめたところ、左側の腎臓で炎症が起きていた。左の脇腹の症状が強かったのは、そういう理由からだった。
担当医は鈴木さんに対し、すぐに抗菌薬と痛み止めの点滴を投与した。
「そうしたら少しずつですが、痛みがやわらいできました。点滴が終了する1時間後には、マックス10だった痛みが、6くらいまでに改善しました」(鈴木さん)
その後、担当医からは、「緊急度がかなり高い重症の腎盂腎炎」で、「放っておいたら細菌が全身にまわり、敗血症で命の危険が生じるところだった」と、説明を受けた。
なお、本来なら入院治療が必要なところ、鈴木さんは小さい子どもがいることから、通院で点滴治療を続けることが許された。治療経過は順調で、2日目には痛みが0になり、平熱に。3日目には尿検査や血液検査の数値も大きく改善、1週間後には基準値に戻り、担当医から「もう大丈夫です」と言ってもらえた。
鈴木さんが今、気をつけていること
鈴木さんは今、「二度とあのような思いをしたくない」と、気をつけていることがある。“トイレで排泄したあとのおしりの拭き方”だ。
腎盂腎炎の原因となる細菌の80%は大腸菌、20%は尿の出口付近に常にすみ着いている細菌だ。大腸菌は肛門付近に集まっていて、便の排泄時に肛門から前に向かって拭くと、大腸菌が膀胱に侵入しやすい。このため、予防策として「前から後ろに向かって拭くこと」が勧められている。
もう1点は、“尿の色に気をつける”ということ。
腎盂腎炎では血尿が出るため尿が赤っぽくなることも多いが、普段、自分の尿を見る習慣がなかったため、異変に気づかなかった。クリニックで尿検査をしたとき、尿が「鮮やかなブラッドオレンジ」(鈴木さん)になっているのを見て、驚いたという。
「みなさんも、いつもと違う痛みや尿に変化があったら、要注意。我慢せずに早めの受診をお勧めします!」(鈴木さん)