東京大学が9月24日に2025年度からの授業料改定を発表した。既定上限の20%増の64万2960円とし、修士課程は2029年度から改定、博士課程は据え置くという。ただ、2028年度に想定する授業料改定増収額は13.5億円で、2022年度の学生納付金165億円に対する比率は8%程度にすぎない。
前回、学生納付金比率ランキングをご紹介したように、授業料増加の効果は限定的で今後も国の支援は欠かせない。そこで今回は国が支出する運営費交付金の経常収益に対する比率をご紹介する。文部科学省の資料によると、国立大学運営費交付金は2004年度の1兆2415億円から2024年度には1兆784億円に減少している。だが、依然、各国立大学の主要な収入であることは変わらない。
では、現状はどうなっているのか。「東洋経済・国公立大学財政データベース(2024年版)」(データは2022年度)を使い国立大学の運営費交付金について見ていく。
ランキング1位は82.8%
国立大学で企業の売上高に当たるのが、「経常収益」だ。内訳は国からの交付金である「運営費交付金収益」、授業料・入学金・検定料といった「学生納付金収益」はじめ、「受託研究収益」「受託事業等収益」「寄付金収益」などがある。医学部があれば「附属病院収益」も加わる。
今回は経常収益に対する運営費交付金の比率を出し、高い順にランキングした。上位は大学経営で国(運営費交付金)の依存度が高い大学ということになる。
ランキング1位は視覚障害者と聴覚障害者を入学対象とする筑波技術大学で82.8%。経常収益27億円に対して運営費交付金は22億円。ほかの主要な収入は学生納付金2億円、附属病院収益0.7億円などと運営交付金頼みの大学だ。
2位の総合研究大学院大学は1988年創設の日本初の独立大学院大学。大学共同利用機関等の世界トップレベルの研究環境を教育の場とすることに特徴がある。経常収益22億円に対して18億円の運営費交付金で81.8%となっている。
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