カウンターから席まで持ってくる間にも、カレーの良い香りが鼻をくすぐります。
パッと見て思ったのが、通常のカレーライス(ないしかつカレー)ではカレー部分とライス部分がそれぞれゾーニングされているのに対し、このカレーかつ丼はそれがありません。
真ん中にかつの卵とじが鎮座し、その周囲を囲むようにカレーがかかっています。
さっそく一口いただきましょう。頬張って感じるのは、どこか懐かしく思える「カレーの中央値」とでも言うような味わい。安心感とともに「そうそう、カレーと言えばこれだよね」と妙な納得感があります。
具材で目立つのが、じゃがいも。しっかりと形を残しており、ルーだけで口当たりが平坦にならないのがうれしいところです。また、食べ進めていくと、牛肉らしき肉もあり、なかなかラッキー。
肝心のかつ部分は、かつが4切れ。「かつカレー」ではなく「かつ丼」としての側面が強いのか、衣はかなりしんなりとしています。一方で玉ねぎはシャキシャキ感がしっかりと残っており、アクセントとして十分。また、卵はしっかりめに火入れされていました。
かつ部分の味付けは甘めですが、主張が過度に強いことはなく、カレーと良い塩梅で調和しています。かつカレーでもかつ丼でもない、まさにカレーかつ丼というほかないメニューだと感じます。
脂の“暴力”を少し受け流すために、そばもいただきましょう。つゆの蓋を開けると、だしの香りがかつとカレーの風味でいっぱいになった鼻腔を洗い流してくれます。
そばはコシがしっかりしており、のど越しも良く狙い通り、口の中をさっぱりとさせてくれました。あっさりとしたそば、そしてこってりとしたカレーかつ丼のコンビネーションを楽しみつつ、あっという間に完食です。
生そばに座席シフト、演歌BGM…激動の1990年代
さて、あらためて富士そばの紹介です。公式Webサイトによると、富士そばが開業したのは1966年で、当時は「そば清」という店名でした。
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