しかし、「さすがに2度目はないよなあ」、と思っていたら、2024年選挙はまたも「バイデン対トランプ」だという。ああ、どっちも嫌だ。選挙に行きたくない。気分が盛り上がらないときの民主党は弱い。
逆に共和党側には、熱狂的なトランプ支持者がいる。宗教保守派の応援もあるし、そうでなくても彼らは義理堅い。まして7月13日の「トランプ氏銃撃事件」があってからは、「神に守られた候補者」というカリスマ性も加わった。7月の共和党大会が終わった時点では大差がついていた。
「棚ぼたハリス」への悪評が「ごもっとも」なワケ
ところがそこへ奇跡が起きた。バイデンさんが不出馬宣言し、カマラ・ハリス副大統領にお鉢が回ってきたところ、彼女が急に光り輝いて見え始めたのである。
正直なところ、カマラ・ハリスさんはこれまで冴えない政治家だった。カリフォルニア州の検察官として順調に出世し、ついに州司法長官にまで上り詰めた。たまたま2016年に、同州のバーバラ・ボクサーという民主党古手の上院議員が引退したので、あまり苦労せずに後釜として上院選挙に当選。上院で司法委員会に所属したのは当然として、諜報(インテリジェンス)委員会にも所属したのは、「その上」を目指す野心があったからであろう。
2019年夏には、いきなり民主党の大統領予備選挙に出馬した。討論会でバイデン大統領をやり込めるなど、いくつか見せ場も作ったのだけれども、どうもマネジメント能力に欠ける人らしく、資金不足から12月にはあっけなく選対本部を解散してしまう。
しかるにその後がいけなかった。その時点で2020年1月のアイオワ州党員集会に向けて、ハリス陣営のスタッフは現地で活動していたのである。彼らは選対本部の解散を報道で知らされる。つまり、ボスに見捨てられてしまったのだ。これは怒っていいだろう。
そんな感じだったのに、ハリス氏は2020年8月に「棚ぼた」でバイデン氏の副大統領候補に指名される。予備選挙を勝ち抜けず、途中で部下たちを放り出した彼女が、史上初の女性副大統領になれてしまったのだ。以後、民主党内ではハリス副大統領について、何かと悪い噂が流れるようになる。「アイオワの恨み」を抱えるスタッフが党内に残っていることを考えれば、それはまったく不思議のないことと言えよう。
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