さて、間もなくアメリカは9月第1月曜日の2日、「レイバーデイ」の祝日を迎える。労働者のお祭りの日だが、ここを過ぎればアメリカ大統領選挙はいよいよ終盤戦だ。州によっては、郵便投票も始まってしまう。ここから先、11月5日の投票日まではあっという間だ。現在の情勢は横一線、いや、ハリス半歩リードと言っていいだろう。
「もしハリ」が実現したときの準備不足は明らか
あらためて気がつくのは、われわれは「もしトラ」については散々、思考実験を重ねてきたし、材料もそれなりにある。トランプ第1期政権のことを思い出せば、「ああ、またアレが始まるわけね」と想像がつくのである。ところが「もしハリ」については、あまりにも準備不足である。「ハリス大統領」になったらどうなるのか、さっぱり見えてこない。
8月24日付の『The Economist誌』が、さっそくカバーストーリーで取り上げている。”Kamala Harris can beat Donald Trump. But how would she govern?”(カマラ・ハリスはドナルド・トランプを倒しうる。だが、どうやって統治するのだ?)
いわく。「ハリス大統領」が何を目指しているのかは、気持ちが悪いほど曖昧なままだ。彼女は深い信念とは無縁な人物で、バイデン氏と同様、党にあわせて立ち位置を変える。彼女が以前に大統領選に出馬したときの公約(民間医療保険の廃止、シェール開発の禁止、越境の非犯罪化など)は、あっけなく放棄された。
彼女はトランプ氏が言うような左翼的イデオローグではないのだろう。現実主義者なのは政治家として結構なことだ。ただし「理念なきプラグマティズム」は危うい。優先順位のない大統領は、目の前の出来事に流されてしまう。海外からの挑戦を受ける恐れもある……。
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