6月27日の第1回テレビ討論会を契機に、今年のアメリカ大統領選挙の情勢は大きく変化した。端的に言うと、それまでは選挙戦について尋ねられるたびに、筆者は「どっちが勝つかわかりません」と答えていた。それが今では、「(ドナルド・)トランプさんが有利です。民主党は議会選挙も含めて大崩れする可能性があります」と答えるようにしている。
すでに「候補者差し替え」が前提に?
この辺はデータを見ると一目瞭然だ。今やすっかり定番となっているRCP(リアル・クリア・ポリティクス)で、「Trump vs. Biden」の世論調査 を見れば以前は1ポイント以内の差で両者が並走していたが、本稿執筆時点では3ポイント近い差がついている(2.9%差、7月3日時点)。
さらに、大統領選挙をギャンブルに見立てて投票する「Betting Odds」のデータを見ると、なんとカマラ・ハリス副大統領(15.3%)がジョー・バイデン大統領(13.8%)を抜いて第2位に浮上している。つまり「候補者が差し替えられる」ことが前提になっている。もちろん第1位のトランプ前大統領は、54.5%で独走状態である(7月2日時点)。とにかく6月最終週と7月第1週では、文字通り選挙戦の景色が変わってしまったのだ。
それくらい6月27日の第1回テレビ討論会は、バイデンさんにとって悔やんでも悔やみきれない出来栄えであった。「大統領は高齢過ぎて、再任に耐えられないのではないか?」という今まで皆が目を背けていた不安が、白日の下に晒されてしまったのである。
とはいえ、バイデンさんに弁解の余地はない。今回の討論会は、バイデン陣営から申し入れたものだ。そのうえで、①時間は討論会としては短めの90分、②司会はリベラルなCNN、③観衆を入れない、など、バイデンさんが望む条件がそろっていた。2度目の討論会は9月10日で、これまたリベラル派のABCが主催である。普通だったら、共和党側から「FOXニュースにも司会をさせろ」といった条件闘争がありそうなものだ。
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