この原稿は、ワシントンDCのキャピタル・ヒルトン・ホテルで書いている。大変ラッキーなことに、このタイミングで日銀が予想外の利上げを実施してくれて、ドル円レートは久々に1ドル=150円を割れ、140円台後半まで円高が進んでいる。筆者の出張経費も、予定より安く上がってくれそうなので大変ありがたい。
息を吹き返した民主党とその支持者たち
いや、このところ毎回のようにアメリカ大統領選挙をネタに取り上げているので、そろそろワシントンの空気を吸って、関係各位のご意見を聞いてくるべきかなあ、と考えておったのだ。そこで用事が少なかった7月末~8月の頭に、たまたま出張の予定を入れたのである。
そしたらご案内の通り、この7月がとんでもないことになった。6月27日のテレビ討論会でジョー・バイデン大統領がまさかの不首尾を演じた後に、事態は急展開する。
7月13日にはドナルド・トランプ前大統領の暗殺未遂事件が発生。同月21日にはバイデン氏のよもやの出馬辞退表明、そしてその推薦を受けたカマラ・ハリス副大統領の人気が急上昇。さらにこの間には、司法判断においても重要な変化があったことは、前回の「今のアメリカは『ほぼトラ』ではなく『まじトラ』だ」(7月20日配信) で触れたとおりである。
まさに「どんでん返し」の連続。しかも11月5日の投票日までは、すでに残り100日を切っている。81歳のバイデンさんのもとで意気消沈し、「今年はもうダメか…」と諦めかけていた民主党支持者は、59歳の新しい候補者のもとで息を吹き返した。
ハリス陣営には、最初の2週間で選挙資金が2億ドル(約300億円)も集まり、その3分の2は「初めての寄付者」からであったという。全米各地における選挙ボランティアの登録も進んでいる。若者たちの間では、彼女をネタにしたTikTok動画がバズっている。ハリスさん本人が何もしなくても、周りが勝手に動いてくれるのだから話が早い。
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