円高が進み、ドル円レートが久々に一時1ドル=155円台をつけた。ドナルド・トランプ前大統領がブルームバーグへのインタビューで、「円安と人民元安批判」を展開したことが効いてくれたもようである。
もっともトランプさん、4月23日にドル円が1ドル=154円をつけたときにも「大惨事だ」とドル高を牽制している。そのときには効かなかったトランプ発言が、今回は2円以上も相場を動かした。いかにもマーケットらしい現金な反応といえるのではないだろうか。
相場格言にいわく、「噂で買って現実で売る」。今はトランプさんの片言隻句(せっく)が相場を動かしているが、タイミングが変わるとまったく違う読み筋が出てくることもある。
しばらくは「トランプトレード」の季節に?
例えば「トランプ政権発足で財政赤字拡大」→「アメリカ長期金利上昇」→「日米金利差が再拡大」→「ドル高円安」でも不思議はあるまい。不動産ビジネス出身のトランプさんは、高金利と強いドルが大嫌い。しかるに彼の政策が金利上昇をもたらすことだってあるわけだ。
ましてトランプさんは、輸入品に一律10%を、対中製品には60%の関税を課すとも言っている。このことがアメリカ国内のインフレを再燃させ、同国の連銀が再利上げという筋書きもありうるところだ。
こんなふうに政治に動きがあれば、これを奇貨としてマーケットは動く。しばらくは「トランプトレード」の季節ということになるだろう。
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