なんとなれば、トランプさんの大統領当選確率は、この半月ほどで急激に上昇した。いつも参照しているアメリカの政治情報サイトRCP(リアル・クリア・ポリティクス)のベッティング・オッズ などから判断すると、現状は6~7割といったところか。もはや「もしトラ」などと呼ぶのは失礼であろう。「もしトラ」は、たぶん当選確率が2~3割のときに使うべき言葉である。
とは言うものの、「ほぼトラ」(8割以上)と口にするのも憚(はばか)られるところだ。過去6回のアメリカ大統領選挙のうち、最も大差がついた2008年選挙においても、当選したバラク・オバマ候補(民主党)と破れたジョン・マッケイン候補(共和党)の票差は、一般投票数にすると6590万票対5950万票とわずか7.2%差にすぎなかった。
アメリカ社会の左右の分断は、それくらい進んでいる。ゆえに2024年選挙も、最後はかならず1桁台の接戦となるとみておくべきであろう。
しかも、ジョー・バイデン大統領は「選挙戦を降りない」とファイティ
ングポーズを続けるも、17日、なんとこのタイミングで新型コロナウイルスに感染してしまった。いやもう、時に利あらずというか、前回の「アメリカ大統領選挙でバイデン氏は撤退するのか」(7月6日配信)でも指摘したとおり、もはや民主党の候補者差し替えは不可避なんじゃないだろうか。11月5日の投票日までには、まだまだ波乱がありうると考えておいたほうがいい。
「まじトラ」で色分けされる「勝ち組」と「負け組」
となれば、現状は「まじトラ」(真面目にトランプ)と呼ぶのが適当ではないかと筆者は考えている。それでも、「どっちが勝つかわかりません!」と言っていた6月中旬までとは確実に状況が一変した。
「2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足」というシナリオを、市場関係者は急いで頭に入れておく必要がある。とりあえずナスダック総合指数やS&P500種指数に比べて遅れていたダウ工業株30種平均が最高値を更新し、トランプ発言で為替が動くくらいには、市場は「トランプ大統領の復権」を織り込み始めている。そこで「トランプトレード」が始まるわけである。
来年1月からの政策変更を先取りして、すでに株式市場では「勝ち組」「負け組」が色分けされつつある。トランプ政権発足となれば、まずは防衛関連株、そして石油・天然ガスなどの地下資源関連、さらに規制緩和を当て込んだ金融関連銘柄などに注目が集まる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら