さらに筆者がこちらに来てみると、テレビなどではパリ五輪報道そっちのけで、トランプさんが副大統領候補に指名したJ.D.ヴァンス上院議員の失言問題を取り上げている。3年前のFOXニュースでのインタビューで、ヴァンス氏が「この国は民主党と一部の財閥、そして多数の『子供がいないネコ好き女たち』(Childless cat ladies)が動かしている」と言ったことが物議を醸している。
ヴァンス氏では「女性」「無党派層」を取り込めない懸念
いや、それは単純にマズいでしょ。日本でも昔、エッセイストの酒井順子さんが『負け組の遠吠え』という本の中で、「子どもがいない女は負け組」だと刺激的に定義して、2004年流行語大賞のトップ10入りを果たしたことがある。でも、同じことを男性の政治家が口にしたら、敵を作るに決まっているでしょうが。しかも現在の共和党は、「郊外に住む女性層」の票をいかに獲得するかが課題になっているというのに。
世代間ギャップの問題もある。ヴァンス氏は8月2日に誕生日を迎えて、「不惑」の40歳になったばかり。正副大統領の候補者に初めてなったミレニアル世代だ。昭和の戦後世代じゃないんだから、「お前、いまどきこんなこと言うか?」というのが当地でよく聞く評価である。もちろん女性、そして猫を愛する人たちの顰蹙を買ったことは言うまでもない。
ヴァンス氏の指名は、銃撃事件の直後にトランプさんが天啓のように決めた人事だが、テッパンのトランプ支持層には受けがいいけれども、これから無党派層への浸透を目指すことを考えると、共和党にとって「資産ではなく負債」ではないか、などと言われ始めた。とはいえ、党大会で決めちゃった人事を今さら替えられるものではないし、もっと言えばあのトランプさんが、自分の間違いを認めたりするはずがないのである。
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