春闘の焦点、【実質賃金】が低迷してきたのは「労働分配率の低下」が主因なのか?統計をそろえて分析すると浮かぶ「真犯人」、より深刻な"低迷"とは
春闘賃上げ率が約30年ぶりの高水準となったことを受けて、名目賃金は高い伸びとなっているが、実質賃金は低迷が続いている。最近の実質賃金の減少は主として物価高によるものだが、長期低迷の背景には労働生産性が上がっていないことがあるとされることが多い。
しかし近年、「労働生産性は上昇しているにもかかわらず、それに見合った賃金が支払われていない」との指摘も増えてきた。
過去30年間(1994~2024年)の労働生産性(時間当たり)と実質賃金(時間当たり)の関係を見てみよう。一般的に示されるのは以下のようなグラフだ。

94年を起点とした30年間で労働生産性(時間当たり)は42.2%上昇している。しかし、この間の実質賃金(時間当たり)の伸びは1.1%とほとんど増えていない。
なぜ実質賃金と労働生産性は乖離するのか
実質賃金(時間当たり)は労働生産性(時間当たり)×労働分配率×交易条件で表される。したがって、実質賃金と労働生産性の乖離は、労働分配率と交易条件の変化によって説明されるが、その要因の捉え方については見解が分かれている。
すなわち、労働分配率の低下を主因として強調する立場と、交易条件の悪化を重視する立場とが存在する。
この問題を読み解く上での落とし穴は、各変数に異なる統計が用いられるケースが多い点にある。
たとえば一般的には、実質賃金は毎月勤労統計(厚生労働省)、労働生産性(実質GDP÷労働投入量)はGDP統計(内閣府)の実質GDPと毎月勤労統計(厚生労働省)の労働時間、労働力調査(総務省統計局)の労働者数の組み合わせ、労働分配率は法人企業統計(財務省)、交易条件は企業物価指数(日本銀行)を使うことが一般的だ。
これらの統計は調査対象、作成方法などが異なり、必ずしも統計間の整合性が取れているわけではない。このため、実際のデータを上記の式に当てはめると、成り立たないケースが出てくるのだ。



















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