まずは1月23日の日本銀行金融政策決定会合の夜からの急速な円高についてコメントしたい。
同日午後の植田和男総裁会見後、市場が東京時間帯から欧州(ロンドン)時間帯に移ると、ドル円は159円台前半まで円安が進んだ。その時点で日銀による「レートチェック」(為替介入を行う当局が市場参加者に相場水準を確認すること)の噂があり、いったん2円ほど円高の157円台前半をつけた。
しかし、その効果は一時的で、その後また158円台に戻っていた。レートチェックは、為替介入の準備段階とされるため、市場の介入警戒感は高まったものの、1回の噂だけで円安圧力を反転させるまでには至らなかったということだ。
ところが、アメリカ・ニューヨーク時間に入ってニューヨーク連銀(米当局の為替介入の実行部隊はNY連銀である)も、レートチェックを実施したという噂が駆け巡って円は急騰、一気に155円台で週末を終えることになる。
さらに、週明け26日の東京市場はいきなり154円台で始まり、一時153円台前半まで円高が進んだ。23日金曜夜の159円台前半からみれば1日で6円近い大幅な円高となった。そして今度は、アメリカ時間27日にトランプ大統領のドル安を歓迎する発言が伝わると、日本時間28日早朝には一気に152円台前半まで円高が進んだ。
予想外に効いたレートチェック
実に効果的な口先介入である。
レートチェックは、当局が正式に認めることはないにしても、実施されたのは間違いないだろう。1日で一気に6円近い円高になったため、実弾(ドル売り、円買い)による為替介入実施の可能性も否定できないが、正式な確認には時間を要する。
もし、実弾なしで、つまりレートチェックだけで、6円近い円高を、しかも日銀の利上げなしで、実施できたとすれば、今回の口先介入は大成功と言っていいだろう。
タイミングも絶妙だった。
1月23日は衆議院の開催日である。前回の連載「『高市解散』で円安加速、最短で日銀3月利上げも」で、「選挙戦の最中、160円台に乗せるような円安が続けば、高市政権の『責任ある積極財政』が正しいのかと問う声が大きくなってくる。市場が160円を試す動きをすれば、為替当局は介入のベストタイミングではないと認識しつつも、介入を実施せざるをえないのではないか」と書いた。
為替当局が高市早苗政権を忖度したかは知らないが、この円高で高市首相は一息つくことができるだろう。期せずして、今回の円高が政権批判の防波堤になった形だ。




















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