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日本企業はリーダー欠乏症を解消できるか

タレントマネジメントはおおむね4つのプロセスからなります。

(1)パフォーマンス評価:当人が属する組織の業績成果の評価と、当人自身のパフォーマンスを評価する
(2)タレントの棚卸し:当人の能力、経験、実績をレビューしたうえで、今後どんな経験をさせ、どんな能力開発をすべきかを決める
(3)チャレンジングな異動、配置、プロジェクトチームへのアサイン:これまでのキャリアで抜け落ちた経験を補ったり、一気にコントロールする経営資源の幅を広げて、経営感覚を身につけるなどのストレッチ経験を与える
(4)能力開発のプログラム:チャレンジングな経験の中で成果が出せるように必要な能力開発プログラム(研修、メンタリングなど)を施す

 

この4つのプロセスは、グローバル企業では当たり前のように動いているのですが、日本企業ではうまく動いているといえる会社はまだごく少数派です。タレントマネジメントは日本企業の多くが導入している「目標管理制度」の進化型なので、日本企業で目標管理制度がうまくいっていない現状をみると、同根の課題があるといえるでしょう。

タレントマネジメントは、自分の組織だけでは到底できることではないことは一目瞭然です。なぜなら優秀なリーダー(候補)人材を他の組織に異動させる仕組みだからです。当然、職場の長は優秀な人材は囲い込んで離したくないという意識が強く働きます。

では、当の本人はどうかといえば、どんなに才覚のある人材も一つの職場で長期にわたって同じ仕事をさせていると、どうしても視野狭窄(きょうさく)に陥り、次第に頭が固くなります。ポジションだけ上にしても、優秀な人材は「自分の成長の頭打ち感」をきちんと自覚できるため、放置しておくと他社に流出してしまいます。他社に行ってしまったら、タレントの戦争に負けてしまうのです。

誰がタレントマネジメントを行うか

企業のリーダー人材について「タレント」という言葉を最初に使ったのは、米国の経営コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーの「THE WAR FOR TALENT」(1997年)という著書のようです。WARとは戦争ですから、その意味するところは、ビジネスという戦争に勝つためには、リーダーの獲得と育成の戦争に勝たなければならない、ということです。

ではタレントマネジメントは誰が運用するのでしょうか。

GEやIBMなどのグローバル企業では、タレントマネジメントの運用は明確にHR(人事部門)が行っています。本社人事だけでなく、部門にHRのエキスパートが数名配置されており、彼ら彼女らが、部門のトップと一緒に前述の4つのプロセスを管理するのです。

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