あなたが「上司を尊敬できない」と感じるワケ 日本企業はリーダー欠乏症を解消できるか
日本企業の人事部門はここまで現場に踏み込んだことができるでしょうか。日本のある化学メーカーでは、マネジャー(管理職)のパフォーマンス(能力や成果)が下がっているという問題が明らかになり、マネジャー登用試験を根本的に変えました。
それまでは、職場からの推薦があった候補者に問題解決ケーススタディーのアセスメント研修と、簡単な人事面接の結果だけで決めていましたが、ケーススタディーの代わりに、自社を取り巻く環境変化と中期的な経営目標、自部門の目標や職場の課題という、いわば「目標の連鎖」と「マネジャーに登用されたらやり遂げたいビジョン」をプレゼンするプログラムにしたのです。
従来のアセスメント研修で候補者が見られていたのは、職場で問題が起きたときに、マネジャーとしてどう解決できるかという能力。ただ、そもそも職場からの推薦で上がってくる候補者は、「そろそろこの人も管理職になってもらわないと」と、年功的に選ばれがちでした。抜擢登用をやると、職場がギスギスしたり、追い越された人のモチベーションが下がったりしてしまうからです。
しかし、今のマネジャーに必要なのは、職場や仕事の理想像を描き、現実とのギャップを見つける力、つまり問題を発見する能力です。この化学メーカーが刷新した登用試験を経て新たに就任したマネジャーは、それまでのマネジャーとは明らかに違う、と社内で評判になっています。
こうした動きはまだ限定的で、日本企業の多くでは、そもそもタレントマネジメントができるように人事の仕事が規定されていません。日本企業のタレントマネジメント導入がグローバル企業に後れを取っている大きな理由の一つが、このような人事の役割の違いなのです。
リーダー欠乏症の処方箋はタレントマネジメントにあり
とはいえ、リーダー欠乏症の処方箋は、タレントマネジメントにあります。まだうまく機能している会社がないのは事実ですが、この数年で加速していく人材マネジメント方法であることは明らかです。
誰しも尊敬できる、ついていきたいと思わせるリーダーを上司に持ちたいと願っています。これは先が見えない変化の激しい時代のビジネスパーソンの根源的な欲求になってきています。そもそもリーダーはリーダーしかつくることができません。人間は尊敬する人、好きな人に似てくる動物だからです。
今後数年で、タレントマネジメントができない人は、組織の長にはなれない時代がやってきます。そして上司もマネジャーも組織の役割だと思っている人はもはや不要になります。リーダーを目指しましょう。リーダーとはやりたいことがある人です。そしてその達成の道筋を描こうと努力する人です。
故スティーブ・ジョブスがリーダーの生きざまを端的に表現しています。
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