あなたが「上司を尊敬できない」と感じるワケ 日本企業はリーダー欠乏症を解消できるか
そもそもリーダーシップは、目的地にリードするやり方のことなので、目的地がないのにリーダーシップを発揮させると、当然ですが間違った使い方になりがちです。
一番典型的な間違いの例といえば、「コーチング」です。
コーチングとは、相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、相手に自発的な行動を促す、というコミュニケーション技法です。
リーダーシップの一つのスキルとして、正しく使えば極めて有効ですが、もし、事業、組織、仕事の全体としての目的、ゴール、課題が自分の中で整理されていない上司がコーチングを使ってしまうと、単に質問と承認を繰り返すだけになってしまいがちです。
その結果、「この人は私のいうことをよく聞いてくれる」と部下からは好かれるかもしれません。ただ、部下に好かれるだけでは、それを意気に感じてやってくれる部下の頑張りに頼るだけですから、そこそこの成果は出せても、事業や組織にインパクトをもたらすことはできません。
その部下すら、質問と承認だけが繰り返されると、「この人の元にずっといても、これ以上の成長やチャンスはないかもしれない……」と、もやもやした気持ちを持ち始めてしまうのです。つまり成長実感と貢献実感が満たされない状況です。
リーダーが正しくコーチングスキルを使うと?
逆に目的地を明確に持ったリーダーがコーチングスキルを使えば、「われわれが目指す○○という姿からすると、次はこの顧客に何をすべきだと思う?」というように質問ができます。あるいは、承認の仕方も「君が自覚しているとおり、私も君の強みは○○だと思う。だからその強みをもっと生かして、組織のパフォーマンスを高めるために、新しく○○を担当してみたらどうだろう?」という言い方になります。
さて、企業はリーダーの欠乏症をどう解決しようとしているのでしょうか。企業は今、リーダーの素養をもった人材を企業内で探し出す仕組みや仕掛けを運用し始めています。人事の世界の言葉では、「タレントマネジメント」といいます。
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