友だちの数、生産性の高いチームのメンバー数、縦割り化する会社の社員数……。これらの人数は、進化心理学者のロビン・ダンバーが発見した「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」に支配されている。古来より人類は、「家族」や「部族(トライブ)」を形作って暮らしてきたからだ。
メンバー同士が絆を深め、信頼し合い、帰属意識をもって協力し合う、創造的で生産性の高い組織を築くためには、このような人間の本能や行動様式にかんする科学的な知識が不可欠である。今回、『「組織と人数」の絶対法則』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
集団の規模の問題は無視されがち
チームやグループについて考えるとき、私たちは機能や責任に注目し、価値の創造や関係する人の能力に配慮する。だが規模について考えることはまずない。
順調に機能するには部署が大きすぎるということがあるだろうか。チームが与えられたタスクに向かないということがあるだろうか。
組織にときたま出現する有害な文化――「我ら」と「彼ら」の精神構造――は、組織内のグループの規模によって説明できるだろうか。会話が収拾つかなくなるのはどのような場合か。
数学者のブノワ・マンデルブロが雲を「重なり合う波」の微小な複合構造体と見なしたように、組織の中の小さなクラスターやごく小さなグループに焦点を合わせることに利点はあるだろうか。
組織は財務コストの測定は得意でも、失われた人的資本(巨大企業というタンカーから漏れ出たエネルギーや才能、忠誠心、自発的な努力)の無形コストの測定は得意ではない。
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