このなかで、まず実行しやすいのが運動だろう。
なぜ運動が五月病などのうつ状態に予防的に働くのか。川村さんはこう説明する。
「運動をすると筋肉が動き、イリシンというホルモンが放出されます。イリシンは血液を介して脳へ運ばれると、それに反応してBDNF(脳由来栄養因子)が増え、神経細胞がよみがえるのです」
運動といっても、ウォーキングや散歩でOK。激しく体を動かす必要はないとのこと。それでも、1日8000歩ぐらいは歩いたほうがいいそうだ。
通常、10分ほど歩けば1000〜1200歩。60分で8000歩弱になる。勤め人であれば、通勤でも1日4000〜5000歩程度は歩くのだが、ゴールデンウィークなどの休日は会社に行かないため、歩く必要がなくなってしまう。
だから休日こそ意識して8000歩歩くようにしたい。
ちなみに、川村さんは休日には朝11時頃に家を出て、90分ほど歩く。途中、90分ぐらいは休憩時間を設けて、何もしないで公園などでぼーっとしているそうだ。これだけでも十分にうつ状態を予防できるのだという。
運動することの「意外な」メリット
運動することのメリットは、体を動かすことだけにとどまらない。
散歩をしていると、あちこちの看板が目に入ったり、信号機で止まったりするなど、この間、さまざまな情報が入ってくる。その結果、問題となる思考(長時間考えすぎ、答えの出ないことを考える、など)が分断される。これも五月病の予防に大きく働くそうだ。
「3時間ほど外にいると、頭がリフレッシュした感じになると思います」(川村さん)
運動が苦手な人は、風呂掃除でもいい。体を動かすことになり、しかもきれいになった風呂に入れるといった“おまけ”もつく。料理もいいだろう。レシピを考えて食材を買いに行き、調理しておいしく食べれば、気持ちの切り替えになる。
家事をするのが嫌なら、コンビニに行ったり、デパートでウインドーショッピングをしたりするのもいい。美術館やライブに出かけたりするのもありだ。
「とにかく体を動かすきっかけを作ることです。運動が嫌い、体を動かすのが面倒くさい、という人に私がよくアドバイスするのは、3分だけやってみるということ。頭でいろいろと言い訳を考えず、まずは行動してみましょう」(川村さん)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら