ハーバードとFBIで習う「最強の説得法」とは? 相手を自分の望むように動かす方法があった

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このアクティブ・リスニング、さまざまな修羅場でも活用されている。たとえば、人質を解放するように呼びかける交渉の場でも、最初はこのアクティブ・リスニングから始まる。アメリカ連邦捜査局FBIの人質解放交渉ユニットによって開発された「行動変容階段モデル」による、人質解放に向けたステップは以下のとおりだ。このステップは相手に、自分の考え方を理解してもらい、相手の考え方を変えるあらゆる「説得」に使える。つまり、相手を自分の思い通りに動かせる「魔法のテクニック」ということだ。

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FBIで開発された「魔法のテクニック」
① アクティブ・リスニング
 相手の話を聞き、しっかりと聞いているということを相手に理解してもらう。
② 共感
 相手の素性や気持ちを理解する。
③ 相互信頼
 相手から信頼を得る。
④ 影響
 自分が相手に望む行動を薦める。
⑤ 行動変容
 相手が行動を変える。

忍耐を要するプロセス

とはいえ、忍耐を要するプロセスであり、たいていの人は④から始めてしまう。ネゴシエーションで最も大事なのは、自分の主張をすることだと思ってしまっているからだ。しかし、最も大切なアクティブ・リスニングから始まる最初の3つのステップなくして、信頼関係は生まれにくい。教師と生徒、上司と部下、医師と患者、夫婦、親子など、あらゆる人間関係において、トライしてみたいステップだ。

そういえば、先日、日本への出張の帰り、飛行機で、たまたま見たドラマで堺雅人さんが主役を演じる「Dr. 倫太郎」というドラマを見た。一話の一部しか見られなかったが、このドクターはまさに5つのステップを忠実に実践していた。ほかの医者からは効率が悪いと言われても、人の話をとにかく丁寧に聞く。相手の考え方を否定せず、受け入れ、信頼を勝ち取る。

とはいえ、現代人はとかく忙しい。「うるさい夫や子供の言うことなんて、いちいち聞いていられないよ~」と思ってしまうのも事実。そこを百歩譲って、筆者も最近はアクティブ・リスニングに一歩でも近づけるよう少しずつ努力をしている。実は「一生懸命聞いている」ように見えるボディランゲージ、というものもいろいろあって、そのテクニックをまぶしながら、「聞いている感」を演出することもできるのだが、そのあたりの話はまたの機会に!

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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