ハーバードとFBIで習う「最強の説得法」とは? 相手を自分の望むように動かす方法があった

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「そうか、簡単に妥結してはいけないし、手の内は見せてはいけないのね」などと納得しながら、「次は、グリグリと相手を攻める」、とか「自己主張を立て板に水のようにまくしたてる」とかといったアグレッシブな交渉術を教えてもらえるはず、と期待を膨らませたのもつかの間、授業はまったく別の方向に展開していった。

指導にあたったエネルギッシュな教授が力を込めて語ったこと。それは、ネゴシエーションにおいて大切なのは、自分の考えを雄弁に語ったり、相手を論破したりすることではなく、「とことん聞くこと」だった。アクティブ・リスニングと言われる手法で、相手の話をじっくり聞くことがネゴシエーションの基本だというのだ。

そして、交渉とは相手を犠牲にして、自分が利益を得る「ゼロサムゲーム」ではなく、双方にとってメリットのあるwin-winネゴシエーションの道を探ることが先決なのだ、と。「なんだか弱腰だな~。そもそもアメリカ人は根がアグレッシブだから、こうやって、自分の要求ばかりを前面に押し出さないように、わざわざ、控えめでいることを教えてもらわなくちゃいけないのか」などと、思ってしまったほどだ。

弱腰な「ザ・日本人」的な自分を、自信を持って主張を押し通す強い自分に変えたいと思っていただけに、まったく拍子抜けしてしまったのだが、世界のエリートが実践するハーバード流アクティブ・リスニング、よくよく学ぶと、ビジネスの商談などでも、とても役に立ちそうなスキルだ。

アクティブ・リスニングの黄金律

リスニングと言っても、決して、忍耐強く、相手のいうことを聞いているとか、「わかりました」と言ってただ座っているといったものではない。具体的なアクティブ・リスニングの3つの“黄金律”となる方法をご紹介しよう。

① 受け止める
② 言い換える
③ 質問する

 

たとえば、商談に臨んだ部品メーカーの営業部長のあなたに対して、自動車メーカーの担当者はこう言ったとしよう。

自動車メーカー担当者
「あなたのプランでは、急な受注増に対応し、即増産できる体制にあるようには思えない。製品はいいと思うが、価格も受け入れられないレベルだ」
部品メーカー担当者のあなた
(ステップ①受け止める)「私共の提案にご満足いただけていないということは理解いたしました」
(ステップ②言い換える)「製品について評価してくださってありがとうございます。急な受注増に対して、スピーディーに増産ができる、ということをお約束できるかということですね。また、価格についても何らかの考慮が可能かどうか、そういったことでよろしいでしょうか」
(ステップ③質問する)「価格について、おっしゃられましたが、どういう判断からそのように思われたか教えていただけますか。もしよろしければ、ご満足頂けるような価格設定ができるか、お話合いをさせていただけますか?」

 

といった具合だ。このプロセスの中で、相手の懸念や心配事、要求をしっかりとヒアリングしながら、結果的に両者共同で解決法を見いだしていくのがベストな方法というわけだ。

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