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あえて「格式張らない新訳」で読む源氏物語の斬新 角田光代が5年がかりの新訳に挑み得た気づき

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角田:ただ、それまで私は『源氏物語』を終わりまで通して読んだことがなかったので、これを機にきちんと読もうと思いました。ところが非常に読みにくいんですよね。どうしようかと困ってしまって。そのときに最初に読んだのが山本先生の『平安人の心で「源氏物語」を読む』です。

この本が本当におもしろくて、『源氏物語』ってこんなにおもしろいのか、これなら私も頑張れるかもしれないと思いました。そういうわけで、山本先生は最初に私の背中を押してくださった方です。

山本:ありがとうございます。そういうお助けができたのだったら、すごくうれしいです。

目指したのは「落ちこぼれでも読める訳」

山本:現代語訳はどういう方針でなされたのですか?

角田:『源氏物語』の訳はもういっぱいあるじゃないですか。錚々たる作家の方々のいろんな訳がすでにあるので、私がやらなくてもいいじゃないかと思ったんですよね。でも、私がやらなくてもいいじゃないかということは、今までとは違うなにかをやらなくてはいけないということ。

そう考えたときに、立派な訳がいっぱいあるけれども、ガーッと読めるような格式が低い訳はないと思ったんですね。

実際に私自身、『源氏物語』に何度もトライしては落ちこぼれてきた経験があるので、そういう落ちこぼれ組でもガーッと読めるような訳にしたいと思って、とにかくわかりやすさを目指しました。

本当はやってはいけないことだし、研究者の方々はお怒りになるんじゃないかと思うんですけど、私は敬語を全部抜いてしまったんです。『源氏物語』は敬語がとても重要な作品ですよね。

山本:そこなんです。私は本当に驚いて、今、学生にも一般の方にも角田さんの現代語訳をお薦めしています。

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