「5万円のケーキ」に見えたコージーコーナーの本気 「親しみやすさとコスパ」だけではなかった

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ノエルミルクレープ(518円)。抹茶スポンジの上に、カスタード入りクリームを挟んだクレープ、苺クリームをはさんだ苺風味のクレープを重ねたクリスマスカラーのミルクレープ(撮影:尾形文繁)

ゴールデンウィークにはポケモンとのコラボ商品を発売し、かつてない反響があったという。

「母の日まで販売を予定していたが、予想以上の反響をいただき、早期に完売してしまった。コラボ商品はこれまでの客層とは違うお客様に裾野を広げられるという意味で、期待している」(船田氏)

ニーズの多様化に加え、コンビニのスイーツも高品質化するなど、洋菓子の市場は厳しくなっている。その中で同社としてはどう競争力を維持していくのだろうか。

スイーツを囲む楽しさを追求していく役割

「トレンドは変わるが、スイーツに求める大きなニーズは変わらない。やっぱり多くのお客様は、定番の安心できる味を求めている。われわれの役割はそのうえでスイーツを囲む楽しさを追求していくことだと考えている。洋菓子専門店として、お客様のニーズに合わせた提案が大事だ。コンビニには身近さでは敵わないが、旬やトレンドを取り入れながら購入していただける頻度を上げていく。その意味でまだまだ市場を広げる余地があると考えている」(船田氏)

銀座コージーコーナー代表取締役社長の船田知秀氏は2022年4月に現職に就任。高級クリスマスケーキは同氏の発案だという(撮影:尾形文繁)

どこでも課題となっている原料費の高騰への対策としては、8月に値上げを行ったが、引き続き品質を維持しつつ、効率化によるさらなるコストダウンも進めていくという。工程の機械化、省人化がポイントとなる。

店舗数は増加しており、全国的にパートナー企業による運営店が増えている傾向にある。全国展開するうえで、地域の企業との連携が欠かせないためだ。今後も店舗数は増やしていきたいと考えており、まだ本格的に展開できていない、中国、九州への出店をまずは目指すという。

特別な日に食べるケーキは幸せの象徴だ。そのイメージを維持するためにも、老舗としての安定した経営が重要だろう。一方で、多様なニーズに対応し若い層を取り込んでいくために、挑戦も必要だ。5万4000円のクリスマスケーキに、銀座コージーコーナーとしての気概を感じた。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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