「クライマックスシリーズ不要派」に欠けた視点 MLBはポストシーズンの拡大で人気を維持

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NPBがCSを行うのには、経済的な事情もある。日本シリーズは日本野球機構の主催であり、両チームに分配金はあるものの、球団に興行収入は入らない。

しかしCSは、ペナントレースと同じく出場チームの主催だから、興行収入が入る。CSはファーストステージ、ファイナルステージ共にほぼ満員になるから、球団にとっては本当にありがたい「ボーナス」になるのだ。

しかしどんなにCSが盛り上がっても、江本孟紀氏のいう「もやもや感」は、消えるわけではない。これを多少緩和する手段として「10ゲーム差が広がればCSファイナルのアドバンテージを2勝にしてはどうか?」という声もあるが、短期決戦での2勝のアドバンテージでは、反対にCSの興趣がそがれてしまう。

MLBの地区シリーズに倣った方式の提案

それならMLBの地区シリーズに倣って今のNPBを3地区にして、それぞれの優勝3チームと3地区の2位以下で最高勝率のチームを「ワイルドカード」としてポストシーズンには、4チームが進出することにしてはどうか。ワイルドカードを2枚にして「ワイルドカードゲーム」をしてもいいと思う。

3地区の2位以下の勝率上位2チームで争うワイルドカードシリーズは最大3試合(2先勝)。3地区の優勝チームとワイルドカードシリーズ勝者で争うセミファイナルシリーズは、2会場で行われ最大5試合(3先勝)×2、そして日本シリーズが最大7試合(4先勝)。合わせて最大20試合。

仮に西地区を「ソフトバンク、広島、阪神、オリックス」、中地区を「中日、DeNA、巨人、ヤクルト」、東地区を「ロッテ、西武、楽天、日本ハム」とすると、今季の地区優勝チームは西がオリックス、中がDeNA、東がロッテとなり、ワイルドカードで阪神、広島となる。

たまたま今年は西地区に相当するチームが強すぎたが、これらのチームがペナントレースの結果をもとにポストシーズンを戦うのだ。本当はエクスパンション(拡張)をするのが理想だが、これでも「ペナントレースの結果 を尊重した」形になると思うがいかがだろうか。

ポストシーズンの充実は野球だけでなく他のスポーツでも拡大の方向にある。創意工夫に期待したい。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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