「クライマックスシリーズ不要派」に欠けた視点 MLBはポストシーズンの拡大で人気を維持

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MLBでも1968年までは、ポストシーズンは、アメリカン・リーグ、ナショナル・リーグ各10球団のペナントレースの勝者が雌雄を決する最大7試合のワールドシリーズだけだった。

しかし翌1969年に両リーグが東西4地区に分かれて、ポストシーズンに地区シリーズができた。MLB球団のエクスパンション(拡張)が相次ぎ1998年にはア・ナ両リーグは東中西3地区30球団になった。

ポストシーズンには両リーグ6地区の優勝チームに加え、各リーグ2位の最高勝率チームを「ワイルドカード」としてポストシーズンに参加させた。「地区シリーズ」「リーグ優勝決定シリーズ」「ワールドシリーズ」とポストシーズンは3つのカテゴリーになった。

その後、ワイルドカードのチームが2つに増えこの2チームが地区シリーズ出場権をかけて戦う「ワイルドカードゲーム」がポストシーズンに加わる。

さらに2022年からは両リーグ3地区の2位以下の勝率上位3チームがワイルドカードとしてポストシーズンに進むことになり「ワイルドカードゲーム」は「ワイルドカードシリーズ」へと拡張した。

MLBはポストシーズン拡大でシェア維持を狙う

2022年のポストシーズンは、両リーグのワイルドカードシリーズが9試合、地区シリーズが16試合、リーグ優勝決定シリーズが9試合、ワールドシリーズが6試合の40試合にもなった。期間は10月7日から11月5日までの30日間だった。

北米4大スポーツで最も古く、ファンの年齢も高いMLBは、ポストシーズンの拡大で、シェアを維持しようとしているのだ。

もちろん、NPBと同じように「下剋上」はある。ワイルドカードからワールドチャンピオンになるチームもあり「ペナントレースの価値、権威が下がる」、との批判も出ている。

しかしMLBの場合、両リーグ3地区の優勝チーム計6チームの争いが基本で、そこに2位以下の勝率上位3チームのうち1チームが「ワイルドカードシリーズ」を経て参加するのであり、ペナントレースの価値は、NPBよりも保たれている印象だ。

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