「クライマックスシリーズ不要派」に欠けた視点 MLBはポストシーズンの拡大で人気を維持

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崩れ落ちるソフトバンクの大津亮介(写真:時事)

10月16日の夜、筆者は千葉市のZOZOマリンスタジアムの客席にいた。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦、ロッテ-ソフトバンク戦は球史に残る激戦だった。0対0で延長戦に入ったが、10回表、ソフトバンクが3点を先制、ロッテは絶体絶命となったがその裏に4点を取って劇的なサヨナラ勝ちをした。

筆者の隣には5人の大学生が座っていた。ロッテのユニフォームが3人、ソフトバンクが2人。それでも仲良く応援合戦をしていたが、ソフトバンクがサヨナラ負けをするとソフトバンクのユニフォームの大学生が泣き崩れた。仲間が彼の肩を抱いて慰めている。

グラウンドでも、敗戦投手になり崩れ落ちた新人の大津亮介の背中に手を置いて、斉藤和巳コーチが何事かを語りかけている。その横を、涙を流しながら遊撃手の今宮健太がベンチに引き上げた。球場は何とも言えない興奮状態になっていた。

クライマックスシリーズが盛り上がる理由

筆者は毎年、CSを観戦しているが、こうしたドラマチックな展開が非常に多い。客席が大いに盛り上がるのだ。なぜCSは熱戦が多いのか?

それは高校野球ファンが「甲子園は準々決勝が一番面白い」と言うのと通じる部分があると思う。甲子園の準々決勝は、3試合前後を経験し、チームの一体感が出た実力校同士がぶつかるから、接戦、熱戦が多くなるのだ。

CSも、ペナントレースで勝ち残ったチームが、長いシーズンの熱気をそのままに激突する。しかも相手はシーズン中何度も対戦し、手の内を知り尽くしている。知力、体力の限りを尽くした総力戦になるから盛り上がるのではないか。

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