「安っぽいのに100億」美術作家の常識破りな思考術 一見チープな作品に世界一の高値がつく理由とは
美術と言うと、崇高。そんなイメージをひっくり返すかのごとく、大衆文化の低俗・安っぽくけばけばしい部分ばかりを扱ったのがジェフ・クーンズという作家です。
彼は、中身が空気のバルーン・アートや、アニメキャラクターなど、いかにも軽そうなテーマを扱います。驚くべきは、彼の作品は安っぽく見えるのに、現存する作家の中で100億円という世界一高い値がついているということ!
なぜ彼の作品にこのような価格がついたのか、アートとお金の原理にも触れるその理由を、書籍『常識やぶりの天才たちが作った 美術道』から、一部抜粋・再構成してお届けします。
ジェフ・クーンズは1955年生まれ。アメリカで活動する現代美術作家です。
代表作品には、100億円という超高額で取引されたウサギの空気人形の《ラビット》(1986)や、大スターのマイケル・ジャクソンとそのペットを陶器で作った《マイケルジャクソンとバブルス君》(1988)などがあります。
低俗を極めて最高値で売る、資本主義✕現代アートの仕組み
ジェフ・クーンズの作品の特徴は、なんと言ってもぱっと見、ものすごくチープであること。それなのに彼の作品には何十億円、何百億円という金額が平気でつきます。ニュースなどで美術作品のオークションが話題になるとき、「どうしてこんな作品に、高い値段がつくの?」と思ったことはないでしょうか。
美術作品に高い値段がつくのには、いくつか理由があります。最もわかりやすいのが、希少価値だから、というもの。作家がすでに亡くなっていて、新作はもう生まれないというのが代表的です。しかし、クーンズは2023年現在も存命であり、存命中の作家作品の値段がここまで高くなることは現代美術界でも珍しいことです。
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