「安っぽいのに100億」美術作家の常識破りな思考術 一見チープな作品に世界一の高値がつく理由とは
クーンズの作品であるバルーン・アートのわんちゃんや、空気でふくらませたウサギをモチーフにした彫刻は超高額作品になりましたが、安っぽい見た目なうえに中に入っているのは空気です。つまり、彼にとってその作品の主役はあくまでも「空気」なのです。「空気に何億円もの値段をつけることはできないか」と考えたクーンズの作戦は、見事に成功したと言えるでしょう。
今後、クーンズの作品の価値はどう評価されていくのか?
普通に考えれば、どんなに質がよかったとしても、ただの日用品では、何十億円という高い値段では売れません。けれど、美術作品につく値段は、歴史的価値があると信じる人がいて、それを手に入れたいと望む人がいる限り、天井を知らないのです。
資本主義の時代における、オークションの値段がどんどんつり上がる仕組みを利用してそれを証明してみせたのが彼でした。
でもそれは実は、「歴史的価値があると信じている人がいる」ために成り立っていることです。歴史的価値は、時代の変遷によっていつコロリと変わってもおかしくはありません。
大きな空気人形の彫刻は語りかけます。これは実体のない空気に金額がついているようなもので、いつかバルーンごと弾けるものだと。
クーンズにとって、作品についている金額もコンセプトの1つでした。
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