しかしそれでも、副業をやっているということに、どこか後ろめたさがあった。
もちろんえばることではないかもしれないが、後ろめたさを感じていたのは、自分自身の問題だろう。なぜあんなに、副業に後ろめたさを感じていたのだろう?
副業は「休息の時間」を削るものである
私の話だけをしていても仕方がない。データを見てみよう。
2023年に株式会社リクルートが調査を実施した「兼業・副業に関する動向調査2022」データ集 によれば、副業経験のない人の「兼業・副業を実施するにあたって不安に感じること」の第1位は、「本業との両立(時間管理)が難しい」ことだった。一方で、副業経験のある人の「兼業・副業を実施して難しさを感じること」の第1位は「休日などの休息時間が減少する」ことなのだ。
つまり、ものすごく大雑把に解釈してしまうと。「副業をやっていない人」からすれば、副業=本業の時間を削るものなのでは? という懸念があり、「副業をやったことのある人」からすれば、副業=休息の時間を削ってしまうもの、なのである。
この結果は、副業を経験したことのある人にとっては、納得できるところではないだろうか。たしかに副業は、休息を削って行うものにならざるを得ない。
さらに、副業をしていない人からは「本業だけで手いっぱいなのに、副業までやる時間あるの?」と思われているのではないか、という懸念をなんとなく抱えてしまう。
実際調査によれば、副業をしてない理由の第1位は、「本業だけで充分忙しいから」なのだ。副業をやるってことは、暇なんじゃないの? と思われる懸念は、ある。
実際、副業は収入のためにやっていたとしても、過重労働になりやすい。同調査の、企業人事担当者に対する調査において、兼業・副業を禁止する理由第1位は「従業員の長時間労働・過重労働を助長するため」である。もちろん副業を禁止する前に、日本企業の過重労働を減らすべきでは……という意見もあるだろうが、副業するとそのぶん休息が減るという結果も出ているわけで、長時間労働化することは避けられないだろう。
たしかに私たちは、長時間労働――つまり休息と引き換えに、副業している。
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