「会社の収入だけで不安なく暮らせるなら、自分も副業なんかしないよ……」
たまに、兼業時代の夢を見ることがある。
それはたいてい外出先で、私は「やばい、これから会議なのに、会社のPC持ってきてない」と気づくのだ。
手元には、自分のPCしかない。終わった。やばい。資料を映せない。――そのような焦りのなかで、起きる。そして「ああ、専業になったんだった」と苦笑する。ちょっとだけ背中に汗をかいている時もある。
副業をやっていた頃のことが、私にとってはトラウマのようなものになっている、のかもしれない。
政府は副業推進、会社もOK、でも…
私が会社に勤めながら、文筆業の副業をしていたのは、ちょうど1年ほど前のことだ。結局会社を退職して、副業だった文筆業に専念している。
ニュースでは、「政府が副業を推進している」と言われて久しい。
学生時代から文筆業を営んでいた私も、最初から副業OKの規定があることを確認し、その会社に入社した。副業ならゆるゆる文章を書きながら、本業でしっかりお金を稼げるかな、と思っていた。
しかし現実は、怒涛の日々だった。退職してそれなりに時間が経ってから、兼業時代のことを思い出すことが増えた。そしてそのたび、言葉を選ばずに言えば――「限界だったな……」と思うのだ。
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