「言ってすぐに後悔しました」
楠木新(以下、楠木):田代さんは長年、川崎汽船という大手企業で人事部に勤務され、異動の話が出たのをきっかけに会社と交渉して、雇用契約を業務委託契約に変更しました。今ならともかく、十数年前には非常に珍しいことだったでしょう。
田代英治(以下、田代):私より以前には社内にそうした例はありませんでした。私の場合、2004年に出版された秋山進さんらの『インディペンデント・コントラクター』 という本を読んで、雇用契約以外の働き方もあるのだと知りました。異動の話が出た時に、「人事の専門家を目指していたので、部署を移りたくない」という思いがあって、とっさに「業務委託」という言葉が出てしまったんですが、言ってすぐに後悔しました。「こんなことを言って、もしかしてこのまま退職することになるんじゃないか」と不安になったのです。
楠木:十数年前に田代さんからその話を伺った時には、「よくそんなことが言えたなぁ」と感じました。



















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