44歳会社員「年収半減」でも業務委託を選んだ勝算 「それだけあれば、兼業で何とかカバーできる」

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楠木:契約切り替えのときは、いったん退職届を提出して、そこから新たに業務委託契約を結んだわけですね。その時点で、社外で稼ぐ目処は立っていましたか?

田代:いえ、全く立っていませんでした。会社の了解が取れてから実際に業務委託に切り替えるまで半年ぐらいあったので、その間に新しい業務に手をつけておきたかったのですが、退職直前まで採用面接で猛烈に忙しくて、有給休暇も全然消化できませんでした。

楠木:田代さんのそういうところが、会社に評価されたのかもしれませんね。それから今日まで、ずっと川崎汽船で働いてきたのですか?

「会社員の感覚が強みになっています」

田代:10年ぐらいは、ずっと週3日出社していました。2015年ぐらいでしたか、社内で働き方改革の話が出てきまして、私が改革のプロジェクトリーダーを務めることになって、ほぼ毎日出社するようになりました。やりがいのある反面、「でも、これじゃもと通りじゃないか」と感じまして、プロジェクトが終わったところで出社を週1日に減らしてもらったんです。その後は週1で会社に出勤していたのですが、新型コロナの影響で、テレワークが中心となって、必要に応じ不定期に出社する形になりました。

楠木:なるほど。新たに始めた人事コンサルタントの仕事のほうが、本業になっているのですね。私の場合は、生命保険会社の仕事と並行して、著述業に取り組んでみて、「会社に在籍しているメリット」を感じるようになったのですが、田代さんの場合はいかがでしたか?

田代:私も同じです。人事の仕事では会社員としての感覚が非常に大切なんです。会社にも席を置いているので、人事部の課題や会社員の悩みを共有したうえで、アドバイスができる。それが人事コンサルタントとしての私の強みになっています。

楠木:会社員としての仕事と第二の本業との間で、相乗効果はありましたか?

田代:それはあります。守秘義務があるので何でもというわけにいきませんが、会社での経験を社外に活かすということだけではなく、社内の仕事でも「外ではどうなっている?」という相談はよくあります。把握している社外の事情や実態を社内の人事運営や制度策定にも役立てることができます。結果として、双方の仕事にメリットがあると考えています。

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