「役所勤務はブラックか?」公務員の役得と犠牲 人気職業ながら批判も受ける公務員の実態

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公務員の勤務実態は外から見えにくい面がある(写真:まちゃー/PIXTA)
公務員は人気の職業である一方、時に「税金ドロボー」と揶揄されるなど世間からの批判の対象でもあります。本稿は、地方公務員を30年以上経験してきた秋田将人氏の著書『公務員になりたい! ベテラン公務員が教えるお役所就職ガイド』より一部抜粋・編集のうえ、公務員の勤務実態をご紹介します。

ある調査によると、学生が公務員を志望する理由は、「安定している」、「休日や福利厚生が充実している」、「社会的貢献度が高い」、「給与・待遇が良い」、「地域に密着した仕事ができる」などが上位を占めていましたが、これは間違っていないでしょう。

「安定している」にも関係することとして、社会的に信用されていることもメリットの1つだと思います。例えば、公務員を辞めた後に強く感じることなのですが、「お仕事は何ですか?」と尋ねられて、「個人事業主です」と答えるのと、「公務員です」と言うのとでは、相手の反応にやや違いがあるように感じます。

やはり、「公務員です」と言えば、少なくとも「変な人ではないのかな」と思われるように感じます(あくまで、主観的な感覚です。実際には、公務員にも変な人は多いのですが……)。

さらに、意外と知られていませんが研修制度が充実しているのも公務員の特徴です。これにはきちんと法律の裏付けがあり、地方公務員法第39条には、「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない」と明記されているのです。国家公務員も同様です。

勤務として著名人の講演を無料で聞ける

一般に、研修の内容は大きく3つに分類することができます。1点目は、職層研修と呼ばれるもので、簡単に言えば、職員の役職別研修です。対象を新人職員、係長、管理職などに分けるのです。職層とは、職員の階層・階級という意味です。

2点目は、実務研修と呼ばれるもので、戸籍や税などの担当業務、一般的なスキル(語学、パソコン、クレーム対応など)に関連するものです。3点目はその他で、講演会や通信教育への補助など、主に自己啓発に関するものです。

実施方法も様々です。その自治体の職員が講師となることもあれば、民間企業などから講師を招くこともあります。また、職員を全国市町村国際文化研修所(全国の自治体職員を対象に研修を実施)や民間の研修会社などの専門機関に派遣して、そこで研修を受講させることもあります。さらに、海外派遣研修を実施している自治体もあります。

公務員として30年以上働いてきた私自身も、非常に多くの研修を受けました。防災士の資格を取得したり、中国語を学んだりすることができました。また、様々な分野で活躍する著名人の講演会は、とても有益でした。通常であれば高額なチケットを購入しなければなりませんが、無料で聞くことができ、しかも勤務時間中なのですから。このように好きな研修を受講できるのは、公務員になって良かったことの1つと言えるかもしれません。

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