学ぶなかで見えてきたのは、自らを苦しめてきた考え方の癖だ。
「『誰かの期待に応えないと、自分の存在価値がなくなってしまう』と思い込んでいたんです。だから、職場でもがむしゃらに働いていたし、恋愛でも頑張りすぎてしまっていた。誰かの期待に応えようとし続けるなかで、自分自身のやりたいことが見えなくなってしまったんだ、と気付きました」
始めたのは「幸せの仮説検証」
このままではいけないと考えた松尾さんが始めたのは、「幸せの仮説検証」だった。
1日ひとつでも、やりたいことをやってみる。そうするうちに、1カ月後や1年後、数年後のやりたいことも見えてくるかもしれない、と考えたのだ。
2017年12月11日。その日は、松尾さんにとって26歳の誕生日の前日だった。いつもと同じように遅くまでオフィスで仕事をし、帰路につく。品川駅のホームでいつもの電車を待ちながら、思った。「このままだと、誕生日をひとりで家で過ごしてしまうな……」。
1日ひとつでも、やりたいことをする。幸せの仮説検証のことを思い出した松尾さんは、ホームを戻り、いつもは乗らない路線に飛び乗った。「行きつけの居酒屋に行こう」と思ったのだ。
結果的に、この何気ない行動がその後の人生を変えることになる。その店の前で、会社の先輩とばったり遭遇。それがきっかけとなり、先輩が副業で行っていたある食品企業の商品をひろめるイベントを手伝うことになったのだ。
「やってみたら、すっごく楽しくて。初めて心から『仕事が楽しい!』と思えた気がします」
その後もイベントの開催を重ねながら、幸せの仮説検証を続けた。「自分はなぜこのイベントをやるのか」「実際にやってみてどうだったか」を、イベントごとにスプレッドシートに記入していった。すると、「人が笑顔になるきっかけをつくるのが嬉しい」や「イベントで人と会いすぎると疲れる」といったように、自分がやりたいこと、やりたくないことがだんだんと言語化されていった。
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