やりがいはあった。年収も1000万を超えた。それでも、加藤たけしさんは仕事を辞めた。ちょうど40歳の誕生日を迎えるときのことだった。
現在は仕事から離れたキャリアブレイク中で、収入は多いときの10分の1ほどになったという。だが、その表情は晴れやかだ。なぜなら今彼は、忙しく働く日々で置き去りにしてしまっていた大事なものごとに、向き合うことができているからだ。
40歳の節目に、キャリアブレイクを決断
加藤さんは、IT系企業でデジタルマーケティングや広報のコンサルタントとして約10年働いたのち、 文部科学省の広報戦略アドバイザーと東京都港区の広報専門職を兼業。その後、東京都庁の公募におよそ2000人の応募者の中から選ばれ、戦略広報担当課長に就任した。
興味がある領域で、着実にステップアップしてきた。けれど、2人の子どもの産休育休を経たキャリアブレイク経験者だった妻から何度も繰り返し言われ続けてきた。「歩みを緩める期間を設けてもいいんじゃない?」と。
2023年、40歳の誕生日を機に、任期よりも早く東京都庁を退職。家計面も考慮し、キャリアブレイクの期間は「最長2年」と決めた。妻はフルタイムで働き続けるため、加藤さんの収入がある程度下がっても家計に問題はない、という算段もあった。
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