仕事が頭から離れず「心が休まらない」根本原因 ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」

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Dさんの今の状況を首尾一貫感覚で掘り下げていくと、「自分自身に起こる出来事はどんなことにも意味がある」という「有意味感」が低い状態といえます。Dさんは、自分の意見や提案をまったく聞き入れてもらえない組織では、自身の成長は望めないと思うようになったそうです。

アントノフスキー博士は、「結果形成への参加」が有意味感を高めると述べています。「自分の言動が結果に影響を与えている」「チームに貢献できた」という充足感があれば、自分自身の存在意義を実感することができるということです。「結果形成への参加」が叶わないのは、Dさんの仕事をしていくうえでの裁量度が低かったからです。

仕事に意味を見出せなくなったら

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Dさんの場合は、あらためて求める「結果」つまり「目標」について考えていく必要がありました。Dさんに自身の目標について考えてもらうなかで、私の「今直面している問題と向き合うことに、意味や価値があると思えますか?」という有意味感の質問に対し、Dさんは次のように答えていました。

「苦しいけれど、今この問題と向き合うこと自体に、長い目で見て大きな意味があることがわかりました。今の環境で自分ができることを精一杯やって、その経験を糧に、自分が手綱を握れるような立場になったとき、周囲を幸せにしていける職場を作れたらと思っています」

仕事に意味を見出せなくなった場合、自分でコントロールできる部分とそうでない部分に分けて整理すると何かが見えてくることがあります。コントロールできる部分にフォーカスし、その中で自分に可能な人生物語を考え、意味を問うてみてください。そういう視点を持てば、キャリアチェンジや退職をしたことが一見失敗に思えるような場合でも、より良い未来が開けるでしょう。

舟木 彩乃 ストレスマネジメント専門家

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筑波大学大学院博士課程修了、ストレスマネジメント専門家。株式会社メンタルシンクタンク副社長。国家資格として公認心理師や精神保健福祉士などを保有。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や県庁のメンタルヘルス対策にも携わる。Yahoo!ニュース エキスパート オーサ-として「職場の心理学」をテーマにした記事、コメントを発信中。著書に『「首尾一貫感覚」で心を強くする』(小学館)、『過酷な環境でもなお「強い心」を保てた人たちに学ぶ「首尾一貫感覚」で逆境に強い自分をつくる方法 』(河出書房新社)、『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー)。

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