「親ガチャ」に外れた人生が不幸とは限らない理由 ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」

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(写真:gandhi/ PIXTA)
「どんな人生にも意味がある」と説いたフランクル心理学と、その影響を受け、アーロン・アントノフスキー博士が提唱した「首尾一貫感覚」。
ストレスマネジメントの専門家、舟木彩乃氏が逆境に強くなるポイントを解説した著書『過酷な環境でもなお「強い心」を保てた人たちに学ぶ 「首尾一貫感覚」で逆境に強い自分をつくる方法』では、「生きる意味」を考えることの重要性が指南されています。苦しい出来事に遭遇したとき人はどのような考えを持つべきなのか、「首尾一貫感覚」やフランクル心理学を知ることによってどのような効果があるのか。

私たち人間の持っている〝生きる意味を見出す欲求〞(実存的欲求)を、フランクル心理学では「意味への意志」と呼んでいます。私たちは、生きがいのある人生や生活を送りたいという欲求を持っていますが、現代人は〝意味への欲求不満〞に陥っています。お金や地位などを目的や生きがいにして充実感を感じる生き方は、いつかは限界がきます。

それは、どんなにお金持ちや権力者であっても、いずれ平等に死が訪れ、権力や財産はあの世へは持っていけないことからも明らかです。他者と比較して優位を保とうとすると自分自身を満たすための欲求にキリがなくなります。

そのような状況に慣れてしまうと本当の自分がわからなくなり、自分は本当はどうしたいのか、何を望んでいるのかわからなくなります。これは、フランクル心理学でいえば、人生に対して、生きがいや意味を享受することを期待している状態であり、自分中心の世界観にいるということができます。

苦しい出来事に遭遇しても宿命として受け入れられるか

〝親ガチャ〞という言葉があります。親ガチャとは、インターネットスラングですが、子どもは親を選ぶことはできないことから、どの家庭に生まれるかで人生が大きく左右されることを意味します。

たとえば、お金に困っている家に生まれれば、それが原因で進学できないこともあります。ときには、虐待するような親のもとに生まれることもあります。私がカウンセリングをしながら思うのは、相談者の性格的なもの(ものの考え方や価値観、経済観念、行動パターンなど)は、良くも悪くも親の影響(親の性格や価値観、経済観念など)を受けて、人生にも影響を与えるということです。

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