「親ガチャ」に外れた人生が不幸とは限らない理由 ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」

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知識は、勉強量や読書量の多さに比例します。家づくりを例に挙げると、知識は土台です。豊富で質の高い知識があるほど、広くしっかりした土台ができます。その土台をベースに、自分の経験を何倍もの濃厚な経験値にしたり、互いを高め合えるような良質な人間関係を形成したりできるようになります。これが立体的な吸収です。

立体的な吸収のできる人は、同じ経験や出会いをしていても、人生をより味わい深いものにしていくためには、どうとらえ耕せばいいかが自分の持っている知識から感覚的にわかるのです。感覚的にわかるのは、把握可能感(だいたいわかった)と処理可能感(なんとかなる)があるからです。これらの感覚が高い人たちの多くは、失敗を恐れず挑戦していけるため行動的です。失敗経験も人生の肥やしにしていけることを知識や経験から学んでいるため、どんどん良質な経験値が増えていくのです。

質・量ともに圧倒的な勉強や読書、研究などをこなしてきた人は、その知識量ゆえに多くのことを把握し(把握可能感)、知識や成功体験から自分の意見や能力に自信を持っている(処理可能感)といえます。しかし、今の自分にあぐらをかいて知識のインプットを怠っていると、ときに自身の価値観や意見に固執してしまい、新たな価値観を受け入れられないことがあります。めまぐるしく変わる世の中に柔軟に対応していくには、インプットを続け、把握可能感と処理可能感を高めていくことが必要です。

自分はあまり勉強や読書をしてこなかったから把握可能感と処理可能感は低い、と思われた方もいるかもしれません。これまでインプットが足りないと思う人は、今からでも遅くありません。伸びしろがある分、いろいろな知識を本や勉強、専門家などから吸収し続ければ、把握可能感と処理可能感を十分に高めることができます。

人生からの問いかけにどのような「とらえ方」をするか

次に、どんなことにも意味があるという有意味感や、フランクル心理学の意味への意志について振り返ってみたいと思います。人生においてどのような制限があっても、そして、死の淵にいるような状態であっても、置かれた環境や出来事に対して、どのような態度を示すかという精神的自由は残されています。そして、つらい出来事を人生からの問いかけと考え、どう回答するかは、その出来事に対してどのような「とらえ方」をするかにかかっています。

また、自身の内なる声(人生からの問いかけ)に誠実に耳を傾けられるかどうか、問いに対して心に違和感を残さず真摯な態度で答えられるかどうかは、醸成された「自分なりの哲学」があるかどうかにかかっています。自分なりの哲学を持っている人は、つらい出来事に遭遇しても自分にとって意味のあることに変換できる能力を持っています。

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