「親ガチャ」に外れた人生が不幸とは限らない理由 ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」

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では、親ガチャにハズレた子どもたち、たとえば、被虐待児や貧しい家庭の子どもたちなどは、全員に絶望的な将来が待ち受けているのでしょうか。この状況は、ブラック企業に入社してしまった人、嫌な上司にあたってしまった人にも通ずるものがあります。

みなさんの身近に、ストレスフルな状況を乗り越えて一回り成長できる人と、つらい状況に飲み込まれてしまう人の二通りの人がいなかったでしょうか。これまで私は約1万人の方のお話を聴く機会がありましたが、目を背けたくなるようなつらい出来事や現実に打ち勝つことができる人と、そうでない人との差は何か、首尾一貫感覚やフランクル心理学などの知見と自身のカウンセリング経験からずっと考え続けてきました。

逃げ出したくなるような苦しい出来事に遭遇したとき、人はその経験を人生にとって意味あるものにできるかどうかの分岐点に立っています。その分岐点に立ったとき、起きた出来事を〝宿命〞として受け入れ、目を逸らさないという覚悟ができるかどうかがその違いなのだと思います。

ここでいう宿命とは、親ガチャや強制収容所生活、戦争など、自分の努力だけでは変えられないものです。宿命によって与えられた環境下で、今の自分に問われていること、できることは何かを考えることが、覚悟を決めて宿命を受け入れるということです。

〝立体的な吸収〞が把握可能感や処理可能感を高める

第二次世界大戦時、強制収容所に収容され、生き抜いたユダヤ人女性の「逆境を乗り越える力」を研究、分析してまとめられた概念「首尾一貫感覚」やフランクル心理学を知ることによって、宿命を受け入れたうえでつらい出来事を意味あるものにする道が開けます。「自分なりの人生哲学を持ちながら柔軟な考え方やとらえ方ができる」ようになるのです。自分なりの哲学を持っている人とは、これまでの人生で、知識と経験、人間関係から〝立体的な吸収〞ができている人です。

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