「親ガチャ」に外れた人生が不幸とは限らない理由 ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」
「自分なりの哲学」を持っていながらも誤った選択をしてしまう人がいます。事件まではいかなくても、暴力に訴えたり、人を陥れたりする人も同じです。残念ながら自死を選択に入れるような人も、誤った選択をしています。誤った選択肢を選んでしまう彼らの共通点は、自分なりの「とらえ方」に固執し、主観的な因果関係に囚われてしまっているということです。
どのような人であっても、どんな場面に遭遇しても生きる意味のない人生なんてありません。逃げ出したくなるようなことに遭遇したときでも、逃げずに真摯に丁寧に取り組んでいけば、その経験を通して自分自身だけでなく、他人や社会に対する気持ちも変わってきます。
このような良質な人生経験を積んでいくと、自分のいる世界を信頼できるようになり、愛おしく思えるようになります。世界を愛おしく思えるようになると〝今〞が変わり、〝今〞を生きられるようになります。〝今〞を大切に思えるようになったら、あなたのかけがえのない過去の出来事はより尊いものになり、つらい過去はその意味を変えてくるかもしれません。
私は、カウンセリングを通してクライアントがつらい出来事を乗り越えるごとに良質な人生経験値が増えていき、自身を取り巻く環境を大切にしていけるようになる過程を見させていただいています。良質な人生経験を積むには、勉強や仕事を通して知識を習得したり、行動から経験を増やしたりしていくこと、自分の価値観だけにこだわらずいろいろな人の話を聞いてみることでしょう。
「生きる意味」を考えて「生きる力」を得る
生きる意味を考えることは、現実の生活とはあまり関係のないことであり、目の前の仕事や家事で忙しい私たちは「そんなこと考えている暇はない」「考えても答えの出ることではない」などと、敬遠しがちです。
しかし、一見平穏な毎日であったとしても、本心が満たされない欲求不満のまま人生を送るならば、たった一度の人生を悔いなく生きることができないのではないでしょうか。忙しい現代人であればこそ、いま一度、自分はなんのために生きているかについて考え、自分の内にある「意味への意志」に気づいていただきたいと思います。それが、結果的に首尾一貫感覚を高め、生きる力を得ることに繫がります。
首尾一貫感覚の概念やフランクル氏の心理学は難解な印象がありますが、より学んでみたいと思われた方は、首尾一貫感覚に関する専門書やフランクル氏の著書に直接当たっていただければ、多くの新たな発見があることでしょう。フランクル氏の発想で人生を見つめ直し、首尾一貫感覚で逆境に強い自分をつくるきっかけになることを切に願います。
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