「逆境に強い人」と「逆境に弱い人」の決定的な違い ストレスフルな現代を生きるヒント「首尾一貫感覚」

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(写真:USSIE/PIXTA)
第二次世界大戦時、ユダヤ人強制収容所という過酷な状況を生き抜いた人たちには、ある共通した考え方がありました。戦後、医療社会学者アーロン・アントノフスキー博士が彼らの「逆境を乗り越える力」を詳細に研究・分析し、まとめたのが「首尾一貫感覚」です。
同博士は『夜と霧』の著者、心理療法・ロゴセラピーの創始者として知られるヴィクトール・E・フランクル氏からも影響を受け、「首尾一貫感覚」を提唱。「どんな人生にも意味がある」と説いたフランクル心理学と、それに影響を受けたアントノフスキー博士の「首尾一貫感覚」とはどのようなものなのか。
ストレスマネジメントの専門家、舟木彩乃氏が逆境に強くなるポイントを解説した著書『過酷な環境でもなお「強い心」を保てた人たちに学ぶ 「首尾一貫感覚」で逆境に強い自分をつくる方法』より、一部抜粋、再構成してお届けします。(全3回)

現代社会を有意義に生きていくヒント

コロナや戦争、物価の上昇などが、私たちの日常生活だけでなく、心の中にも暗い影を落としています。生きにくい世の中になったと感じる人が増えているのではないでしょうか。そんな現代社会において、少しでも有意義に生きていくにはどうすればいいのか。私は、そのヒントが第二次世界大戦のユダヤ人強制収容所を生き抜いた人など、過酷な環境を乗り越えた人たちにあると思いました。

もちろん、強制収容所を経験した人たちの知恵や生き様が、そのまま現代社会に通用するわけではありません。しかし、過酷な環境を生き抜いた人たちの持っていた逆境を乗り越える力は、今を生きる私たちに何かを教えてくれるはずです。

その力が、「首尾一貫感覚(Sense of Coherence)」です。首尾一貫感覚は1970年代初頭に医療社会学者のアーロン・アントノフスキー博士(1923~1994)が、第二次世界大戦時にナチスドイツの強制収容所に収容されたユダヤ人女性に着目し、彼女たちの持っていた「逆境を乗り越える力」を詳細に研究・分析し、まとめた概念です。

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